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ウィークリーN

第157回●2005年11月13日(日)

  「はるか仙台より、哀しみを超えて…」


仙台育英の高校生達
 今回は私の経験ではないのですが、ぜひご紹介させてください。

 先週母が愛媛県のお寺巡りをしていたところ、偶然今治市の南光坊と国分寺という2カ所のお寺で、同じ高校生の一団に出会ったそうです。
 お参りをしていると、不意に後ろから大きな声で「こんにちは」「こんにちは」という気持ちの良いあいさつが聞こえ、見ると先達(せんだつ)さんを先頭に30人ほどのジャージを着た高校生達が境内に並びました。
                         ※先達・・・山伏や一般の信者が修行のために山に入る際の指導者。

  お寺参りというのは年配の人が多いので、(高校生達が集団でとは珍しい。どうしたことだろう)と見ていると、本堂に3人の高校生の写真を並べ、整然とお経を唱え始めました。耳をすませていると、 「仙台育英高校」 「交通事故」 という言葉が聞こえ、あっと思ったそうです。

 今年5月22日、宮城県の仙台育英高校で学校行事のウォークラリー中、生徒が飲酒運転のドライバーによる交通事故に遭い、3人が死亡し22人が重軽傷を負ったというニュースをご記憶の方も多いと思います。この高校生達ははるばる仙台から四国まで来て、亡くなった高校生の供養としてお寺参りをしているのでした。それぞれ手に数珠と経本らしき物を持ち、一心不乱に祈っている高校生達の姿に、母は大変胸を打たれて涙が出たそうです。

 見ていると、どうもこうやってお四国周りをしているらしい。最近の若者ではとても見られないその雰囲気に、(もう高知は周り終わったのだろうか?もし高知へ来る機会があったら、ぜひお接待させて欲しい)と思ったけれど、みんな一つになって祈っている姿を見たら、雰囲気を壊すようでとても声をかけられなかった、ということでした。

 母は「御大師様の錫杖(しゃくじょう)で打たれたように思った。高校生達に比べ、自分は亡くなった家族だけを弔っていた、と恥ずかしい気持ちになった。あの高校生達は御大師様のお導きだと思った。」と言っていました。そしてその次のお寺からは「今の若者が、みんな幸せになれますように」と祈らずにはいられなかったそうです。

 それを聞いて私も考えさせられました。果たして、自分がその高校生の立場だったら、わざわざ亡くなった友人のためにお四国周りまでできるだろうか?せいぜい、近くのお寺に集まって、供養するだけではないのだろうか、と。

 亡くなった高校生達は次女と同じ、高校1年生でした。交通ルールを守って横断歩道を渡っていた罪もない高校生達は、飲酒運転で居眠りの悪質ドライバーによって、永遠に前途ある将来を絶たれてしまいました。 車に乗る以上、いつ自分も加害者になるかわかりませんし、いつ被害者になるかもわかりません。でも少なくとも誰かを悲しませることがないように、最低限のルールは守らなくてはと改めて思いました。高知県では公務員の飲酒運転は懲戒免職ですが、当たり前のことだと思います。

 亡くなられた仙台育英高校の3人の高校生のご冥福を、心からお祈りいたします。そしてお四国周りをしてくれた高校生の皆さん、亡くなられたお友達の分まで、どうか幸せになってください。

 

 
 
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