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ウィークリーN

第196回●2006年8月20日(日)

 「完全天日塩:佐賀の塩丸」


 昨日は高知工科大学起業家コースの「地域産業振興論」の一環で、前佐賀町(黒潮町)の塩作りについて、学んできました。
 ここはカツオ漁の基地でもあり、浜で上がったカツオを料理してくれる「黒潮一番館」というところをまず見学。

 ちょうど夏休みで、子供達がタタキ作りを体験していました。燃え上がるワラの炎にちょっとおっかなびっくりですが、おばさんのサポートでおいしそうなタタキができています。
 できたてのカツオのタタキはまだほのかに温かいですが、これに地元で作っているお塩をかけて、「塩タタキ」のできあがりです。カツオそのものの味を味わうには、絶好の料理法です。塩は粒が大きく、ほんのりした甘さがあります。
 その塩を作っているのがここ、「完全天日塩保存会 (有)ソルティーブ」です。吉田猛さん・かずみさんご夫妻は、20年前にサラリーマンを辞め、大阪から海のきれいなこの地へ移住してきたそうです。
 会社の目の前には塩作りのビニールハウス、その向こうが太平洋です。年間3〜4トンという生産量は「世界で一番小さな製塩所」と謙遜なさっていました。ここでは「完全天日塩」という火を使わない、太陽熱と風だけで製塩する方法をとっています。生産効率は低いですが、こうするとミネラル分が失われずにすみ、美味しい塩ができるそうです。 

 一番右が海水です。塩分濃度は3.3%。これを真ん中の鹹水(かんすい)と呼ばれる5倍の15%くらいに濃縮します。一番左は最後に塩から分離される苦汁(にがり)。下を焼くような苦さがあります。
 左のネットを張ったタワーの上から海水を流し、風と太陽の力だけで、濃縮して鹹水になるまでこれを何度も繰り返します。
 結晶ハウスと呼ばれる、最後の仕上げをするビニールハウス。中に入るとまるでサウナのようで、とてもじゃないけどこの時期、長くはいられません。一つ一つのバットに鹹水を流し入れ、蒸発させます。最初に結晶化するのは甘みのあるカルシウム。次にカリウム、マグネシウムなど。それを攪拌すると、深い味わいになるのでしょうね。
 塩ができるのは夏場で1か月、冬場なら2か月かかります。塩をかき混ぜ、最後に水分(にがり)を抜いて、塩のできあがりです。季節や日照などによっても、味・質感・手触り等が違ってくるそうです。
 できあがった塩は手作業で袋詰めし、計量して封をして、やっと完成です。商品名は「塩丸」。200グラム入り、630円です。ホームページもありませんが、口コミやマスコミで取り上げられるため、95%は宅配で直接お客様に送っているそうです。
 以前は塩は専売法があったため売ることができなかったので、「塩の会」を作り、住所・氏名を明らかにした会員に配布する、という形をとっていたそうです。当時こういう製塩所があったのは全国で2つだけ。高知の女性消費者運動の後押しがあって、「塩の会」ができたと聞き、誇らしく感じました。(その後規制緩和され、今は自由に塩を売ることができるようになりました。)
 製塩の過程を見学すると、いかにご夫妻が愛情を持って作っていらっしゃるかが伝わってきました。そして「タタキ作り」における地域での連携…。まさに地域で力を合わせた産業振興の実例でした。

 完全天日塩保存会(有)ソルティーブ 
   TEL/FAX 0880−55−3226

 
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