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ウィークリーN

第199回●2006年9月10日(日)

 「閃輝暗点(せんきあんてん)」


 10日ほど前のこと。滅多にないことなのですが、「今日はなんか頭痛がひどいな」と思いつつ、仕事に向かいました。研修中、グループディスカッションを行っていた時のことです。

 突然、視界の中心からギザギザの円が出現し、それがだんだん広がっていきました。それから視野が狭くなり、キラキラと輝くクリスタルのようなきれいな光の曲線が現れ、その部分は物が見えなくなったのです。気分も悪くなり、それがしばらく続きました。
(←こんな感じです)
「これはヤバイな、脳内出血かなんかだったらどうしよう」と心配したのですが、幸い20分ほどでその症状は治まりました。実は1年ほど前にも一度同じ症状に見舞われたことがあり、その時もしばらくすると治ったので、すっかり忘れていたのですが…。

 帰ってから調べてみると「閃輝暗点(せんきあんてん)」らしいとわかりました。原因は、脳の物を見る中枢といわれる部分の血管が収縮し、一時的に血の流れが変化するためだそうです。ストレスや過労が原因だとか。「ええー、ストレスなんか別にないのに…。あ、でも過労はちょっとあるかも」 。

 この「ギザギザの円」、人によって様々な形があるようです。「稲妻のような光」や「点状の光」だったり。そしてその後、強い頭痛に襲われるようです。大体、10〜30代の若い女性に多いそうですが、なんで私は今頃なっちゃったんでしょ?

 月1回〜年1回などと周期的に起こるらしく、「起こったら心配せず、横になって出来たら30分位昼寝をして下さい。そうすれば発作はすぐに治ります。」とありました。しかしまさか、 研修中に寝るわけにもいかないですしねえ…。

 念のため眼科へ出かけました。網膜剥離の初期症状によって、異常がある方の目が光ることもあるということですが、やはり閃輝暗点だということでした。そこで先生から伺った話です。

 実は芥川龍之介もこの閃輝暗点の症状があり、「歯車」という小説で
「絶えずまわっている半透明の歯車だった。・・・歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代りに今度は頭痛を感じはじめる、――」 という記述があります。

 彼は20年も症状があったのに当時は医学的に説明できなかったため、医師に錯覚と宣告されたとか。晩年の彼は、神経衰弱で死んだ母のように自分も狂ってしまうのではないかと怯えていたようで、そこに「幻覚」なんて言われたら、そりゃ参っちゃいますよね。その後不幸にして自殺してしまうわけですが、「歯車」は絶筆に近いそうで、閃輝暗点による頭痛が影響を及ぼしたのではないかという説もあるようです。

 この夏はかなり多忙だったので、少し体をいたわってあげなければ、と反省しました。せっかく神様に貸して頂いている唯一無二の体ですものね。大切に使わなきゃと思い、このところは12時前には寝るように心がけています。
 夏の疲れが出やすい頃です。みなさまもどうぞ、お体にはお気をつけ下さいね。

 

 
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