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第470回●2011年12月17日(土)

「地域社会のコミュニケーション〜香北中学校」

 
(中村 覚)
 先日、アンパンマンミュージアムで有名な香美市にある香北中学校のみなさんに人権学習の一環として、「相手理解のコミュニケーション」ということで講演を行いました。
日頃は社会人を対象とした研修がメインですので、中学校での講演はほとんどやっていないのですが、今回はご縁があってこういった運びになりました。

 会場には生徒の皆さんの他に保護者の方、そして地域の方々もいらっしゃいました。
前の座席には生徒達が座り、その後ろに先生や保護者の方、そしてその後ろに地域の方といった感じです。

  「人権というと、ついつい相手が大事というイメージがありませんか? でもね、実はそれと同じように自分も大事なんですよ」という話からスタートしました。

 例えば、誰かが海で溺れている。「助けなければ」と思いますよね?しかし自分も溺れていれば、助けることはできません。やはり最初に、自分がしっかりしていることが大事です。まず、自分を大切にする。だからこそ、相手も大切にできるのです。心の問題も同じです。

 人生を豊かにするためには人間関係を豊かにすることです。そのためにはコミュニケーション力を磨くことが大事。相手を理解するコミュニケーションは社会に出ると必要不可欠です。勉強だけしかできないのでは通用しません。

 まずは「人それぞれ、価値観が違うんですよ」ということを端的にわかってもらうため、「もしも神様が願い事を叶えてくれるなら、どんなお願い事をしますか?」という質問をしました。それに対し、生徒だけではなく大人の方にも答えて頂いたことで、会場全体が活気づきました。

 この後、高校入試の面接でも役立つあいさつの仕方を始め、「ストローク」というコミュニケーションについて学びました。ストロークとは人の存在を認める働きかけのことで、心の栄養とも言える大切なものです。
 気持ちのいいプラスのストロークを送ってみよう、ということで最後に会場のみなさん全員でワークをして頂きました。生徒達はわざと違う学年の人と組んでもらいましたが、熱心に取り組んでくれました。
 この時、後ろにいらっしゃった地域の方にもインタビューをしたところ、楽しそうにお答えくださいました。生徒達は自然に体をひねって後ろを向き、積極的なコミュニケーションの姿勢を示し、笑顔で聞き入って拍手を送っていました。大人と生徒の交流がごく自然に存在する、こういったことが地域社会のコミュニケーションの土台になるのではないかと思い、見ていて微笑ましかったです。

  後日、教頭先生が生徒達の感想文を郵送してくださったのですが、保護者の方や地域の方々からお寄せ頂いたたくさんのご感想も、わざわざお送りくださいました。学校の講演会で一般の社会人の方々のご感想まで頂いたのは初めてのことで、大変嬉しかったです。せっかくですので、内容の一部をご紹介させていただきます。まずは社会人の方々のご感想です。

○大人も夢中になってお隣の方とコミュニケーションを取りながら、楽しく学ぶことができました。

○今日の講演はこれからの人生にプラスになります。自分自身もコミュニケーション不足とは思っていましたが、少しでも会話力がつけばいいなと考えます。生徒たちにもプラスが大きいと思います。

 次は生徒達の感想です。

■1年生

○ 講演が始まって、ちょっと眠たくなりながら、必死というかまぁ聞いてました。そしたら「あぁなるほど!」ということが何回かありました。ぼくはコミュニケーションの力をつけたいなと初めて思いました。

○ これからは、あいさつされたらしっかり相手の方を向き、笑顔で返してあげたいと思いました。これからは相手にもっとプラスのストロークを送りたいです。


■2年生

○ あいさつは、その人の名前を呼んでプラスのストロークを送った方が相手もうれしいし、自分もされたらうれしいなと思いました。なのでこれから私もあいさつする時は、相手にうれしいなと思ってもらえるようにしたいなと思います。

○ たしかに最近は自分の感情を素直に表現する人が少なくなってきていると思います。私自身も感情を表現するのが苦手です。喜ぶときになかなか感情を出すことができません。でも今日のお話をきいて、もっと喜ぶときにすなおによろこんでみようと思います。


■3年生

○ よく「言葉のキャッチボール」といいますが、今回の「プラスのストローク・マイナスのストローク」の方がしっくりくるし、気をつけることができると思いました。

○ 私は、どうして人権講演会なのにマナーのことやコミュニケーションのことを話すのだろうと思っていました。でも、ペアになってお話ししたりしているうちに分かったような気がしました。(中略)コミュニケーションを誰とでもとれないと勝手に相手に偏見をもったりしてしまうときがあると思います。でもコミュニケーションのとり方を知っていたら相手のことをよく知れるし、受け入れることができると思います。そしたら、多分差別や偏見は減ります。

○ 僕はものすごくコミュニケーションが苦手です。(中略)しかも今日二人ペアでやったのも、あまり話したことがない一年生でした。でもいろいろなことをやっているうちに、すごく話せるようになりました。こんな感じで高校生になっても友達をつくれたらいいなと思いました。(中略)ほめられたり自分にいい言葉をかけてもらうと自然に笑顔が出てしまいますよね。そのことを発見することができました。

○ 今日、僕が決めたことは、毎日、絶対10回はたくさんの人にプラスのストロークをあげたいと思います。1人でも多くの人が自分の言葉で元気になってくれると思ったら、言った僕自身もすごく幸せな気持ちになると思うので、しっかりこれから継続させていきたいと思います。



 みなさん、しっかり自分の表現で感想を書いてくれているので、こちらも嬉しくなります。特に3年生は高校生にも引けを取らないほど、自分なりに思いをうまくまとめていて、大変感心しました。

  講演後、PTAの方からのご挨拶の中で「実は自分の会社でも、コミュニケーションについては思うことがありまして…」という実生活に即したお話をしてくださいました。同じ地域社会の中での大人の話は、生徒達にとって参考になると思い、ありがたかったです。

 地域社会での教育力が薄れて来た現在、今回の香北町のように学校や保護者だけではなく、地域の方々のバックアップもあるこういった教育環境は素晴らしいと感じました。ぜひ今後とも大切になさって欲しいと思います。

 

 

 
 
 
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