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WEEKLY “N”|T医師のひとりごと|すずかの気ままにDO!
 
第3回●2003年4月 「 障害児についての勉強を始めて」
   
  脳性麻痺と筋無力症を合併した長女は、通院しながら週2回のリハビリを続けました。そのため私の家族は、沖の島と宿毛市内の2カ所に分かれて生活することになってしまいました。そこで仕事仲間や地域の理解を得て、長女が8ヶ月の時に、大月町に転勤し、やっと家族が一緒に暮らせるようになりました。

大月では、各地区への巡回診療、往診、夜間の救急当直などさまざまなことを体験しました。いままで、町内数カ所にあった診療所が、1カ所に統合されたばかりで、診療所がなくなった地域の方から、時々ご批判を受けましたが、徐々にご理解いただき充実した日々を送りました。
 長女は、リハビリを続けて、なんとか姿勢を整えてあげれば数分なら座っていられるようになりました。しかし、筋無力症によりまぶたは下がったままでした。この頃から、地域医療の勉強と長女のような障害児のリハビリを勉強してみようと思いました。同じ障害をもっていても住む場所によって、医療や福祉の面で大きな差があります。
障害を持って生まれても、何とか地域で暮らせないかと思うようになったのは丁度この頃です。

しかし、残念なこともありました。病院で障害児を見たという人が、「あんな子が生まれんでよかった。」と言っているのを聞いたときです。それまでは、温かい目でみてくれることが多かったので、さすがにこの時は悲しい気持ちになりました。 

長女が2歳8ヶ月の時に、旧県立西南病院の小児科で研修をすることにしました。大月で考えていたことを実行したわけです。(週1日は、大月での診療を続けました。)
へき地の診療では、数は少ないですが子供達もやってきます。校医や園医をすることもあります。そのための勉強と、障害児についての勉強の2つが目的でした。
新生児医療も行っていましたので、私がいままで主におこなっていた成人の医療とは違った世界にもふれることになりました。生命誕生の喜びの一方、障害を持って生まれた子や、残念ながら亡くなっていく子供達もいました。しかし、病気や障害の有無にかかわらず、スピードは違っても、成長していく子供達に勇気づけられました。

 また、リハビリの勉強に大阪に行かせてもらったり、障害児のご家族と知り合ったり、次女が生まれたりと1年間の研修中にさまざまな経験をしました。長女の筋無力症も、結局入院治療することになり、少しずつ良くなって行きました。(治療法については、母校の教授に相談し、詳しく教わりました。母校は、ありがたいものです。)
 その頃市役所で、身体障害者手帳の申請をしました。長女が利用できる福祉制度の説明などをしてもらえるかなあと期待していましたが、窓口の方は終始事務的な対応でした。行政は、こちらが聞かないと何も教えてくれないということが、よくわかりました。(今は、違うと思いますが…?)

多くの障害児やそのご家族との出会いは、貴重な経験でした。障害の内容は違っても、同じ立場で話をし、つらいことも嬉しいことも共有できることで、私自身の気持ちも軽くなりました。悩みをかかえこまず、同じ立場の方や専門家に相談するといういうことはとても大切な事だと思います。 

 
 

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