HOMEへ戻る 研究所案内研修プログラム実 績セミナー情報お問合せ
WEEKLY “N”|T医師のひとりごと|すずかの気ままにDO!
 
第19回●2004年8月

「高脂血症の話」

 

 今年の夏は暑さと繰り返し訪れる台風に翻弄されてしまいました。今回の台風16号も大きな被害がなければよいのですが。
  クリニックにも暑さのための熱中症になった方や、体調を崩されたかたが来院しました。オリンピックの放送を見て睡眠不足の方も見受けられました。オリンピックでは、日本の久々のメダル量産で私もテレビに熱中してしまいました。家族で一番気の弱い私としては、プレッシャーに打ち勝ち活躍する選手は、うらやましい限りです。

ハクチョウソウ

 先日、久しぶりに医師としてある健康診断に参加しました。地域や職場の検診でコレステロールはよく話題になります。今回は、動脈硬化の原因となる高脂血症について説明します。

 高脂血症とは、血液中の脂質(総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪)のうち、いずれかが高い値を示す病気です。また、コレステロールの中でもLDLコレステロールは動脈効果を進め、HDLコレステロールは動脈硬化を予防します。そのため、LDLコレステロールは悪玉コレステロール、HDLコレステロールは善玉コレステロールと呼ばれたりします。

 この病気は、動脈硬化を進め狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患(心臓病)や脳血管障害などを発症するため、治療を必要とします。肥満、運動不足、食べ過ぎ、遺伝的な体質が原因となることもありますし、糖尿病や甲状腺機能異常など他の病気が原因になっていることもあります。女性では、更年期になるとコレステロールが上がりやすくなります。

 一般の健康診断などでは、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などを測定します。
LDLコレステロールは、直接測定することもできますが、他の検査から推定することもできます。LDLコレステロール=(総コレステロール)−(HDLコレステロール)−(中性脂肪×0.2) 空腹時の採血で総コレステロール220mg/dl以上、LDLコレステロール140mg/dl以上、中性脂肪150mg/dl以上が高脂血症と診断されます。また、動脈硬化を防ぐHDLコレステロールについては、40mg/dl未満が異常値です。

 治療には、食事療法、運動療法、薬物療法があります。食事での注意点は、卵などのコレステロールの多い食品をとりすぎないことや、肉よりは魚を食べる(魚には、コレステロールを下げる不飽和脂肪酸が多く含まれています)こと、食物繊維の多い野菜をとることなどがあります。
 
  中性脂肪の高い方は、アルコールや菓子、ジュース、などを控えるようにこころがけて下さい。喫煙はHDLコレステロールを減らしますので禁煙が必要です。運動することは、HDLコレステロールを増やす働きがあります。平地での早歩きやサイクリング、水泳などが効果的です。ただし、高血圧や心臓病など他の病気で治療中の方は、必ず主治医に相談してから行って下さい。
 
  食事や運動でも改善しない場合は薬物療法を行います。治療の目標値は、日本動脈硬化学会によって、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞など)の危険因子である、年齢・喫煙・高血圧・糖尿病、冠動脈疾患の家族歴・低HDLコレステロール血症、動脈硬化性疾患の既往などによりそれぞれ示されています。さまざまな薬がありますので、主治医に相談して服薬して下さい。
 
 (参考)食行動10カ条

1.1日3食の配分をほぼ均等とし、規則的に食べる
2.腹8分目を守る
3.「早食い、ながら食い、まとめ食い」を避ける
4.食物繊維を先に食べる
5.よくかんで食べる
6.まわりに食べ物を置かず、食環境のけじめをつける
7.好きなものでも一人前までとして、適正量を守る
8.就寝前2時間はおもいものを食べない
9.食器を小ぶりにする
10.外食では、どんぶりものより、定食を選ぶ
   高脂血症治療ガイド(日本動脈硬化学会編より)


 
 

皆様からのメールお待ちしています

 
ページの先頭に戻る
人材育成研修・各種セミナー承ります。
Copyright(c)2002 人・みらい研究所 All rights reserverd.