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WEEKLY “N”|T医師のひとりごと|すずかの気ままにDO!
 
第20回●2004年9月

「高尿酸血症の話」

 

  9月末になってもまだ蒸し暑い日が続くと思っていたら、また台風が近づいているようです。いったい、今年の天気はどうなっているのでしょう。

最近、私の勤務するクリニックでは、高尿酸血症や痛風発作を起こして来院される方が続きました。

 

 尿酸とは、身体の細胞や食事に含まれるプリン体というものが、変化してできたものです。通常、血液中の尿酸値は、7.0mg/dl以下が正常値です。これ以上になると、尿酸は尿酸結晶として身体に蓄積されます。この尿酸結晶が急性の関節炎を起こしたものが痛風です。痛風は関節が赤く腫れ痛みも強く、風が吹いても痛いので痛風と呼ばれるようになったともいわれています。痛風は30-50代の働き盛りの男性に多く、女性や子供には少ない病気です。現在の推定患者数は、30〜60万人と考えられています。

身体の中で作られた尿酸は、腎臓を通じて尿中に排泄されます。尿酸が作られすぎたり、尿中への排泄が低下したりすると血液中の尿酸値が上昇します。この原因ははっきりとはわかっていませんが、生まれつきの体質や肥満、アルコールの過剰摂取、過食などが影響していると考えられています。
 また、高尿酸血症の方は、痛風以外にも腎機能障害や尿路結石を高頻度に合併します。そして高脂血症や高血圧、脳血管障害、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の合併率も高いといわれています。

 治療は、まず食事やアルコールの制限を行います。アルコールはどんな種類でも、尿酸値を上昇させます。特にビールは他のアルコールに比べてプリン体が多いので注意が必要です。食物では、鰹や海老、まぐろ、干し椎茸、煮干し、動物の内蔵などのプリン体が多く含まれているものを、控えるようにします。
(刺身やタタキをつまみにお酒を飲んでいる高知県人にはつらい状況かもしれません)

  また、水分をとり、尿量を増やして尿酸の排泄を促すことも大切です。過激な運動は尿酸値を上昇させるため避け、早足で歩くことやサイクリング、ジョギングなどの適度な運動を続けましょう。ただし他の病気で治療中の方は、運動にあたって、かかりつけの先生にご相談下さい。

 薬物療法は、原因によって尿酸の排泄を促す薬と、尿酸の生成を押さえる薬の使い分けをします。血中の尿酸値だけでなく、痛風発作の有無、腎機能障害や尿路結石の有無などで治療の方法が変わってきます。 痛風の治療は、基本的に関節の痛みや腫れの強い急性期には、消炎鎮痛剤を使用し、その後高尿酸血症に対する薬を使用します。
 
  痛風は痛みをともなうので、医療機関を受診されることも多いのですが、高尿酸血症だけでも動脈硬化につながる可能性があると考えられていますので、症状がなくても一度受診されることをおすすめします。
  
 
 

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