第1059回 「神秘の伊尾木洞②~後編:人生を思う」

6月10日

前回に引き続き、朝ドラ「らんまん」で有名になった、安芸市伊尾木洞のレポートです。緑がしたたるような、野性味満点の道なき道を歩いていきます。

大分進んだろうと思って看板を見ると、現在地は滝までの中間地点くらいでした。
実はここまでは砂岩の地層でまだ歩きやすかったのですが、「ここから先は足下の悪い場所もあります。ご注意してお進みください。」との警告が。

地層は、礫岩(れきがん)に変わっています。砂岩は砂が固まってできたもので、礫岩はそれよりも大きい粒からできているようです。簡単に言うと岩がゴロゴロしていて、川と道が分離していないので、実に歩きにくいのです。

空は見上げると相変わらず狭く、自然が上からも迫ってくるようです。
でも観光客らしき人が少なからずいることに「1人じゃなくて良かったぁ」と思います。

一面のシダの緑も、実はよく見るとさまざまです。
縁取りだけがグリーンのものもあって、なんとなくオシャレ♪

やっと「滝まで200m」とのお許しが(笑)。看板には「伊尾木あなごう保存会」とあります。う~ん、まだ200mもあるのか…。でもこの看板がなかったら、実に心細いと思います。地元の方々のお心遣いに感謝しつつ、進みます。

川の中の岩を渡るときには、子どもの頃の「全身でバランスを取った感覚」が次第によみがえってきます。

ちょっと間違うとジャボンと川に落ちるので、油断禁物!

足場が悪ければ、アスファルトの道が懐かしくなります。日ごろは何とも思わないことでも、人生、足りないことがあると有り難みが身に染みてわかるものですね。
まさか伊尾木洞に来て、人生を考えるとは思いませんでした(笑)

小さな丸木橋を渡って、太いロープにつかまりながらはしごを下りていきます。
ちょっとしたアスレチックをやってるみたいです。

そしてようやく…

滝にたどり着きました!映像で見た、あの美しい景色です。
水の音に心まで洗われます。やっぱり、来て良かった!(笑)

ふと気づくと、滝の前から矢印が右奥に続いています。

え?滝が終点じゃないの?
しかも矢印は、上がっていきます。どうしよう?
悩んだ末、保存会の案内に導かれて 行ってみることにしました。

後でたどり着いたグループは、滝を眺めるとUターンして 悪路を帰って行きます。
「そうだよねえ。さっきの看板でも、滝までしか書いていなかったし…」

いや、人は人、自分は自分だ。面白いことに、これもまた人生に通じます。
そこから少し登ると、木立の間を抜けて…

小さな丸木橋に出ました。渡って、ビックリ。
すぐに細い道に出たのです!
まさしく さっき欲していた、アスファルトの道(笑)。

再び、人生を思います。
人が通らない矢印に進んでみると、面白い展開に出会えるってありますよね。
でも矢印があるわけだから、実はガイドラインには沿っているわけで。

そして「渓谷の保全」という観点から考えると、人間が往復通るよりも片道の方が環境には良いのではないでしょうか。そして、人も帰りは歩きやすい道を通れるわけで、win-win かもと思ったのでした。

手作りのかかしがちょこんと座って見ていました。心和む光景です。

最後に、思いがけないプレゼント!
海の見える景色が、とても素敵でした。

ちょっとした冒険心から得られたものです。
やっぱり、人生に通ずるものがあるなと思ったのでした。

【おまけ】
後で観光案内所で見た、散策ルートマップ。やっぱり情報は大事ですね!
私はこのコースを回るのに、45分ほどかかりました。
慣れた人でないと、滝まで10分では行けないかと思います(笑)