第699回 「隈 健吾 建築 ~梼原にて」

6月5日

このたび、梼原町役場でTA(交流分析)初級講座を若い世代の職員さん対象に行うことになり、打ち合わせに行って来ました。今年は周辺5市町(須崎市/中土佐町/四万十町/梼原町/津野町)で「奥四万十博」も開かれています。(写真はクリックで大きくなります)

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梼原町は町面積の91%を森林が占める森のまちですが、環境モデル都市として小型水力発電・太陽光発電・風力発電(写真)を利用したり、地熱利用の温水プールがあったり、将来的にはエネルギー自給率100パーセントを目指している気骨ある町です。

高知市から車で2時間足らずの「雲の上の町」役場、梼原町総合庁舎です。ご覧下さい、とてもかっこいい建物でしょう!?

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それもそのはず、あの世界的建築家、隈 健吾氏の設計なのです。オリンピックの新国立競技場計画案、歌舞伎座の建て直しなどでより脚光を浴びていらっしゃいますね。2007年に建てられたそうですが、木とガラスの組み合わせが面白いです。

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中に入ってまたビックリ、森本千絵さんのアート作品「受話樹」が存在感を誇示しています。クールすぎるでしょ!ホントに町役場?まるで美術館みたいです。

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こちらは町議会の議場。あらゆる所に、ふんだんに梼原町産の杉の集成材が使われています。

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壁には大型スクリーンが埋め込まれ、LEDライトが使われています。机は可動式になっていて、自由なレイアウトで部屋を使うことが可能です。いざという時には避難所としても使えるとか。癒やしと使い勝手が両立されています。

驚いたことに、人口4千人ほどの梼原町には隈健吾氏による建築が、4棟もあるのです。こちらは「雲の上ホテル」。1994年、一連の中では最も先に建てられた建築です。

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今回は時間がなかったので、残念ながら中は撮っていません。

このホテルには、少し離れた町中に別館があります。
「まちの駅ゆすはら&マルシェ・ユスハラ(ホテル)」2010年建築。

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外観は、かやぶき屋根をイメージしているのでしょう。

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1階はまちの駅で、梼原の特産物などをたくさん売っています。吹き抜けの食堂はまるで森の中みたい。雰囲気ありますね。

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さて最後は、「雲の上のギャラリー」。2010年建築。
雲の上ホテルと雲の上温泉をつなぐ通路兼美術館です。

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下から見上げると、まるで船のよう。とにかく、木組みが美しい。

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透明のエレベーターに乗って、周辺の緑を愛でつつ下りると…

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木の美しさに息をのむ天空廊下が続いていました。

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空間の切り取り方が、宗教的美を彷彿とさせます。

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誰もいない、贅沢な時間に心が洗われていく感じ。

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逆から見ると…、荘厳。まったく違う印象になる不思議さ。
言葉が不要になり、どんどん寡黙になっていきます。

ぜひ梼原町にお越しになって、この建築美を堪能なさってみてください。