第1085回 「試食」
12月8日 中村 覚
12月になりすっかり冬らしく、いえ急激に冬そのものになったという感じです。この寒さは本来当たり前のことですが、極端な寒暖差と言わざるを得ません。
なぜなら11月の終わり頃でも、日中は夏日かと思える経験を何度もしていたからです。こういった時期の暖かさは過ごしやすさでもありますが、その分 寒さに対して体を慣らしてこなかったツケが…。
これまでは12月でもTシャツで数日過ごして、知り合いに「寒くないか?」と聞かれれば「寒い」と答えつつ、内心 自分は我慢大会に出場していて優勝候補なんだと。こんなノリで生活しても風邪は引きませんでした。なのに今年は、ちょっとでも油断して「寒っ!」と思ったら、すぐ風邪の引き始めのような状態に。今までこんなことはありませんでした。
12月のTシャツは、寒さに対して自分を試すのがちょっと面白かったのです。試す対象は「寒さ」に限ったことではなく、色々あると思います。運試し、腕試し、度胸試し、肝試しなど。ところが、だんだん この試すという気持ちが、以前よりは少なくなっているようにも思います。
「何か手頃なところで自分を試してみたいな」と考えている内に、ピッタリ来るのがありました。「試食」です。試食と言っても量販店での「おひとつ、いかがですか」の、あれではありません。
試食 その①
ひまわりの種。売っているのはネットで何度か見たことがあったので、初めてとはいえ既に親近感があります。種は次世代へと続くエネルギーの宝庫。栄養満点、そんなイメージです。
たまたま道の駅で、透明のビニール袋に入って売られていました。ただ、袋のどこにも「食用」とは書いていません。念のため、レジにいた20代の女性の店員さんに「これ、食べられますか?」と聞くと、こちらをじっと見て「人間が、ですか?」「 … そうです。」「ちょっとお待ちくださいね」と言ってレジを離れました。上役に確認しに行ってくれたのだと思います。『今、ヘンな客、来てますけど!』
数分後、戻ってきて「食べられません」。その場に漂う空気は「ですよねぇ~。」(笑)
「わざわざ すみませんでした。これ、ください。」もう引くに引けなくなって買ったわけです。でもだからと言って食べるわけではありません。食べられない物を食べてお腹がピーピーになっては大変です。食べるならちゃんと食用を買わないと。これは畑にバラまいてやる。本来そういう物ですし。(笑)
試食 その②
これ 見た目はカプセルトイですが、中身は食用の昆虫です。バッタとコオロギ。「栄養価が高い!未来の食を先取り!タンパク質不足の救世主!」など勇ましい宣伝文句が目に飛び込んできます。1個500円という値段にも驚きましたが、普通にスーパーの棚にあってビックリ。地域が違えば食の文化として昔からあるわけです。そう考えると本当は驚くには値しないはず。
ところが、商品にインパクトを与えるためか「虫の形状 そのまま!」と。どうしてもこれに二の足を踏んでしまいます。日頃、魚などそのままの姿で食べているくせに、この愚かしい程の先入観。そうだ、時を待とう!これは非常食として取っておこう。
賞味期限2024年6月22日。わりと早い。(笑)
一口に試食と言っても、なかなかうまくいかないものです。