第1112回 「朝の千載一遇のご縁」

6月22日

今月に入ってから梅雨入り宣言があったのに、ほとんど好天の日が続いていましたね。私は健診で「運動してください」と言われ早朝ウォーキングを再開したので、このお天気には助けられました。

近くに土手の散歩コースがあるのですが この時期、土手はさえぎる物がないため6時前でもジリジリと強い陽差し。この年で強い陽差しはシミの天敵ですから、狭い住宅街のコースなら日陰が多くて日焼けしないかな?適度なアップダウンもあった方が足の筋肉にもいいかと思い、高知城までの往復4kmコースを1時間ほど歩いています。

驚いたのは、6時前から結構人がいること。散歩組はもちろん観光客も多く、中には外国の方々もいらっしゃるんです。町中よりも自然に「おはようございます」のあいさつが交わされるのは、ほのぼのする光景です。

たまたま30分早く家を出た日、ある交差点で1人の女性に声をかけられました。最初は言葉がわからなかったのですが「サウスコリア」という単語で、韓国からの観光客だとわかりました。道を聞きたいのかなと思ったのですが 高知城を指さしているのでお城に行きたいのだとわかり、私も時間はあったので急きょご案内することにしました。こうなると高知城への毎朝の散歩にも意味があったわけで、時間のゆとりは心のゆとりです(笑)

女性はキムさんと言い、私と同世代くらい?という感じでした。私はもちろん韓国語を話せないし彼女も日本語を話せないので 片言の英語で交流することに。

最初はお城の北側にいたのでぐるっと南側に回って、天守閣と追手門が一緒に見えるスポットにご案内しました。(追手門はGateでいいかな、天守閣はなんて言うんだろう?)とか悩みましたけど(笑)キムさんは喜んで、写真を撮っていました。

階段を上がり、山内一豊の妻の銅像前で写真を撮っていると、偶然そこにいた散歩のおじさんが「撮りましょうか」と声をかけてくれ、2人で写真を撮ることに。私のカメラの貴重な1枚です。

キムさんが自然な感じでピタッと寄り添ってくれたのがさりげない好意が感じられて、嬉しかったです♪

道が三叉路になっている所では「どの道が天守閣への道でしょうか?」というクイズも出しました。「真ん中の詰門が見える道」は不正解!(笑)正解は、右なんです。

「最後の階段よ」と言って、上りきったときのキムさんの嬉しそうな顔。まだ6時15分頃で残念ながら天守閣への門は開いておらず、写真を撮りましょうと誘ってくれたのですが、ちょうど頼める人がいなくて残念でした。そこから北側のシンプルな道を下り、ホテルの近くの元の交差点までお連れしました。

わずか30分足らずのご縁でしたが、帰り際彼女は「ありがとうございました」と何度も日本語で言って、思いがけずハグしてくれました。薄いシャツ越しにうっすら汗ばんでいたのが心地よい温もりで、私も「カムサハムニダ(ありがとうございます)」と笑って、「良い旅を」と英語で付け加え、別れました。

誰かに喜んでもらえるのは、本当に嬉しいものです。お酒も入らないのに出会ってから半時間足らずの人とハグするなんて、高知市の日常ではまずないですよね(笑)それにしてもちょっとした時間差でもキムさんと私は出逢っていなかったわけで、まさに千載一遇の出会いでした。

後で「そうだ!グーグル翻訳とかもあったのに~」と思いついたのですが、あのたどたどしい英語のやりとりが返って気持ちを近づけてくれたようで、あれはあれで良かったように思います。

キムさん、素敵な思い出をありがとうございました。カムサハムニダ!