第659回 「明治村②」

8月23日

前回に引き続いて、明治村の近代建築のご紹介です。
(写真はクリックすると大きくなります)

博物館明治村は明治時代の文化財が取り壊されていくのを惜しんで、昭和40年に開村しました。最初は15件だったものが、現在では国の重要文化財10件を含む67件になり、敷地も当初の倍、100万平方メートルに広がっているそうです。私が前回行ったのが昭和51年でしたから、そりゃあ変わってるはずですよね。(笑)

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建造物はただ単に移築するだけでなく、文化財としての価値が最もよく発揮されるように配置され、周囲の庭園や植樹なども配慮して村の環境を創作しています。歴史資料の展示はもちろん、実際に当時の電車やバスを走らせているのは、その頃の生活をできるだけ体感できるようにとの配慮でしょう。

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こちらの建物は、内閣文庫。明治44年、皇居大手門内に明治政府が、中央図書館として建てた内閣文庫庁舎の本館です。石とレンガ造りのルネッサンス様式で、手前の豪華な電灯は、明治26年頃に皇居正門前の石橋に設置されたものです。

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正面には高さ7mの4本の円柱と2本の角柱があり、古代ギリシャの神殿を思わせるデザインです。

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玄関部分も優美な線で構成されています。

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この建物の隣には、ちょっと変わった形の建造物が遠くからも見えました。なんだかミステリアスな雰囲気。

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こちらは、川崎銀行本店です。時代は少し新しく、昭和2年に建てられました。銀行は当時は日本銀行を始めあちこちに素晴らしい近代建築を造りましたが、ここもその内の一つです。

東京の中心地、日本橋のシンボルだったこの建物は、昭和61年、ビル立て替えのため惜しくも取り壊され、正面左側角の外壁部分が明治村へ移築されました。後ろ側から3階の展望部分に上がることができます。

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ところで明治村の中には、現役の郵便局もあります。

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明治42年に現伊勢市に建てられた、宇治山田郵便局です。玄関脇には明治20年代の黒い郵便ポストが復元され、現在も利用されています。

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天井はドーム型です。

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窓口で明治村の記念切手を購入しました。

最後はこちら。聖ザビエル天主堂です。
明治23年の建築で、昭和48年に移築されました。

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高校生の頃見た時は白亜の教会で、それはきれいでした。
年月の流れを感じますが、中に入ると…

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たまたま西日が差してステンドグラスの色が床に映り、 時の流れが一瞬に思えて、クリスチャンではない私もなんだか荘厳な気分になりました。

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短時間でしたが本物の近代建築を満喫でき、幸せな時間でした。
次の機会があれば、もうすこしゆっくり見て回りたいものです。