第751回 「宿毛歴史遺産①」

6月10日

先日 宿毛市を訪れた際に、宿毛の歴史遺産とも呼ぶべきものをいくつか見て回り、非常に興味を覚えました。いくつかをご紹介しましょう。

■林邸
宿毛文教センター(宿毛市中央2丁目)の南には、林有造・譲治邸があります。高知県幡多地域で自由民権運動の拠点になり、明治から昭和にかけて3代にわたって国務大臣を輩出した林家の住宅です。

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林邸は 林有造が明治22年に建て、近代の政治家住居として貴重な建物ですが、築120年を超えて経年劣化が見られるため、寄付された宿毛市で改修し歴史観光の拠点にする計画が進んでいるようです。

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入口には、林有造・譲治親子の説明書きがあります。
林有造は自由民権運動家としても活躍した明治・大正期の政治家です。次男の林譲治は衆議院議長も務め、吉田茂が首相の時には副総理でもありました。実父が宿毛市出身の吉田と、宿毛市出身の林の組み合わせから「宿毛内閣」とも呼ばれたそうです。(初耳でした)

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この建物は、林有造、譲治、迶(ゆう)と三代続けて大臣を務めた林家の象徴でもあります。屋根が老朽化で一部崩れ、シートで覆われていました。
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上は植物を、下は宿毛湾の波をデザイン化した玄関の彫刻。120年たっているとは思えない見事さです。早く改修が進んで、公開されるのを楽しみに待ちたいですね。

■宿毛城址
さて、林邸から300mほど北に宿毛城址があります。30年前、宿毛市に住んでいたのに当時はまったく興味がなく、行ったことがありませんでした。

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城跡と言っても、戦国時代の城は砦(とりで)程度のものです。
戦国時代の末、松田兵庫がいたので、もと松田城と言われていました。

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その後 長宗我部氏が入り、関ヶ原合戦の後は山内氏が入っていましたが、その後幕府から一国一城令が出されたため、それにしたがってとり壊されたそうです。

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小さな小山に、今は石鎚神社という神社があるだけです。

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階段を上った所から、すぐ横を流れる松田川が見えます。今は訪れる人もいないのか、参道は草木が生い茂り、ちょっとためらいを覚えるほど荒れている感じでした。

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途中で、急勾配の階段と比較的ゆるやかな坂道の2つに分かれています。距離はたいしたことないんですが、結構勾配がきつかったのと蛇がいないか用心して登ったので、後で筋肉痛になりました。(笑)

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頂上に到着。思ったより狭い。

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とにかく忘れ去られ、荒れ果てているという印象でした。
なんだか、「荒城の月」を思い出すような光景でした。

昔の光、今いずこ…

ちょっとコアな所をご紹介しましたが、
次回は気軽に散策できる歴史遺産をご紹介しましょう。