第758回 「大歩危の妖怪ロード」
7月27日 中村 覚
国道32号線、徳島県三好市、ここは四国山地の秘境、大歩危(おおぼけ)です。たま~にこの辺りを通るのですが、いつも先を急いで一本道の国道をただ走るだけ。でも 今回は、あえて寄り道です。目の前の赤い橋を渡らず左折です。
というのも 以前から気になっていた、こんな物が橋のたもとにあるからです。どこかトーテムポールを思わす木の彫刻。「妖怪の里」と看板があります。妖怪に関する何かがあるのかな~と興味本位のみです。そして妖怪といえば、「ゲゲゲの鬼太郎」。 懐かしさも手伝いつつ、この時期 涼を取るにも良いかな~と。
道の左側を涼しそうに川が流れています。ため息が出るほどにきれいな水です。これを見られただけでも、国道からそれてみて良かった!
そんな川を上流向けて走ること数分、山側にこんなものが。
手前に1体、奥の方に1体います。
手前にいたのが これです。
奥の方に見えていたのはこれ。2体共、景色に溶け込んでいるので、車のスピードが出ていると うっかり気付かず前を素通りしてしまいそうでした。
次に出くわしたのはこれ。今度は川岸にあるデッカイ岩の上にいました。これは目を引きます。
ゴツゴツした岩、後ろの山、これぞ自然の中の妖怪「夫婦遍土(めおとへんど)」。 もし本当に現れたら こんな感じでしょうか?この雄大さは本の中の妖怪イラストとでは味わえません。欲を言えば、闇夜で見たかった・・・かな? 暗くて見えないでしょうか?(笑)
さらに車を走らせること数分。今度はこれ。牙がありますが、愛嬌もあります。「カワミサキ」もちろん初めて聞く名前の妖怪です。
ちょっとまた車を走らせると、今度のは、「おっ、なんとなく知ってるぞ!」
「どろめき淵のエンコ(かっぱ)」と説明がありました。この面構えはカッパに違いありません。首から下は素材の木材 そのままに。手足不要、この顔だけでインパクト大です。
更にちょっと進むと、左側の木々の中にこんなものが。「妖怪の休み場」と看板があり、妖怪はこのような休み場でくつろぎ、人間社会の醜い出来事を覗き見しているのだそうです。(笑)
中の様子です。この小屋の存在には驚きました。雰囲気満点!大人でも「ややっ!」と思うわけですから、子供が見たら更に倍? もっと?
ここまで見ている内に、空が様変わりしてきました。暗くなり 一雨来るのかといった感じです。若干 涼しくもなり「妖怪」を楽しむ雰囲気も盛り上がります。お天道様もわかってらっしゃる。
さらに車を進めると、今度は山側になにやら・・・
あれ?
「コナキヂヂ」です。ここで面喰いました。なぜ急にこんな有名な妖怪が? 石碑を読むと、この「コナキヂヂ」はこの辺りの出身のようです。普通に知らなかった。日本民俗学の父、柳田國男さんが昭和13年に著書で紹介し、時は流れて、その後、漫画家の水木しげるさんが姿形を与えて「ゲゲゲの鬼太郎」に登場させたことで広く全国に知られたとのこと。通りで私でも「コナキヂヂ」なら知っているわけです。
詳しく御覧になりたい方は、記念碑の写真をクリックしてみて下さい。
さらに上流向けて進むと、公園もあり~
彩色され「たからす天狗」、そして この像の5m程後ろの茂みには~
・・・(笑)
鬼太郎と目玉のおやじです。
コナキヂヂからの流れを考えると、粋な計らいに「ありがとうございます!」
国道から逸れて、ちょっとした寄り道のつもりでしたが、思いもかけず楽しませてもらいました。