第787回 「春つげ御膳」
2月16日 中村 覚
今回は「食」に走ります! 食に走ると言っても、自暴自棄の暴飲暴食ではなく(笑)、どこかで珍しい物を食べて それをご紹介! 月一回のコラムを何とか しのぐための最終手段です。
少々大げさに書きましたが、何かを食べてそれを書くことができれば、一石二鳥、それはまぎれもない事実です。でも そのためには自分が本当においしいと思える物に出会わないと書けません。今回は出会えました。きっかけは新聞記事です。
『室戸「春つげ御膳」いかが』という見出しに御膳の写真が掲載されており、2月1日から1ヶ月間、ハマアザミなど旬の地元食材を使った「春つげ御膳」を提供するとのことでした。ハマアザミ? よくは知りませんが、この寒い時期「春つげ御膳」という気持ちが豊かになるネーミングに誘われて行ってきました。
室戸市内の飲食店など8店舗で食べることができる「春つげ御膳」 、前日までに予約が必要です。私が行ったのは「初音(はつね)」というお店。もちろん初めてです。
それでは早速ご覧ください。「春つげ御膳」です。
まずは金目鯛の荒汁です。
金目鯛の油の旨みが溶け込んで、えも言われぬおいしさです。金目鯛って、深海魚だと この日 初めて知りました。ちゃっかり名前に鯛と付いているもんですから、鯛の親戚筋ぐらいに思っていました。
これはハマアザミの天ぷらです。ゴボウのようでもっとおいしいという話は聞いたことがありましたが、まさに柔らかいゴボウのような歯応えです。海洋深層水の塩で味付けされており、おいしくてすぐに完食してしまいました。
天ぷら前の状態を、わざわざ見せて下さいました。昔からこの周辺では食べる習慣があったそうで、岩場の過酷な環境だからこそ、しっかりと根が張り、この歯応えに育つとか。砂地だとこういった根には育たないということです。
これはグレの刺身です。身が引き締まり、さすが室戸の獲れたて。歯応えがあり鮮度が良いので、しょうゆが乗らないようなぷりぷり感でした。
室戸ナスのたたきです。育成に室戸海洋深層水を使っており、柔らかく美味しい羽根町産です。菜の花もみずみずしい青さで、食欲をそそりました。
マンボウのみそ煮です。ご紹介するにあたりしれっと書いてはいるものの、実は食べている時に「これは、何?」と思い直し、お店の方に聞いたところマンボウと判明。あの特異な形をしたマンボウですって…。知らない内に食べてしまっていたとは、なんたる贅沢! 味噌の味が抑えられておりマンボウの風味を引き立てています。例えるならイカのような食感かと思います。夏のマンボウは臭みがあるそうで、冬のこの時期がおいしいそうです。
地元の食材を活かした「春つげ御膳」(1650円)。室戸の地産地消を活かした春らしい食事は、心身を満たしてくれる満足感に浸れました。