第789回 「下関近代建築③旧秋田商会ビル」

3月3日

山口県下関市の近代建築をご紹介するシリーズ、3回目です。前回ご紹介した旧下関英国領事館からすぐ西にある建物です。

写真右手が「旧秋田商会ビル」で、左手は「下関南部町郵便局」。大正4年(1915)から、こうして百年以上も仲良く並んでいるんですよ。

大正4年(1915)に竣工した旧秋田商会ビル。 西日本で最初の鉄筋コンクリート造の事務所建築とされ、ドーム型屋根のある塔屋が印象的です。

なんと屋上には、全国で現存する最古の屋上庭園(と茶室)まであるそうです。残念ながら年に数回のみの公開で通常は非公開のため、見学できませんでした。

外観は褐色のタイル貼り、縦長で小さなバルコニーを備えたフランス窓があり、外観・内部とも後世の改変が最小限で ほぼ建築当初の姿を保っているそうです。

1階は洋風の事務所、2階・3階は和風の住居という、和洋折衷の面白い設計です。

昔の造りなので、耐荷重のため2階・3階へ上るのは人数制限があるため、1階の階段わきで名前と人数を記入して、靴を脱いで上がります。

2階、3階とも和室が広がっていました。3階は大広間で、きっと宴会や集会を行ったのでしょうね。

塔屋部分には、木製の螺旋階段があります。(上がることはできません)
木で螺旋階段を作るという、当時の高度な技術に感心しました。

大正時代の先進的な水洗トイレもありました。壁のタイルは秋田商会が大陸へ進出し、隆盛を誇った頃に輸入したものだそうです。

面白かったのは、このドア。ノブにご注目下さい。
位置が今とはずいぶん違っていませんか?

かなり前にかがまないといけないんです。なんだか、おとぎの国に来たみたい。当時の人は身長が低かったことを実感しました。

こちらは、「下関南部町郵便局」。

明治33年(1900)に建てられた南部町郵便局は、数ある下関の近代建築の中で一番古い建物ですが、郵便局として今も現役だそうです!すごい!

中庭などで結婚式も挙げられるそうですが、残念ながら日曜日でお休みのため、見学できませんでした。

赤い郵便ポストがアクセントになって、とても素敵なたたずまいでした。

下関の近代建築については何も知らなかったのですが、知れば知るほど深みがあって、本当に楽しめたのでした。