第823回 「ビッグバード俳優の引退」
10月27日
我が青春のセサミ・ストリート!1969年の番組誕生から50年間ビッグ・バード役をなさっていたキャロル・スピニー氏がこのほど引退するニュースが流れました。アメリカ・テレビ界最高の栄誉とされるエミー賞の受賞もなさっています。84歳なので、引退はもう納得なのですが、なんとNHKの7時のニュースでも触れてたのでビックリ!
大きな巣にいるビッグバード。無邪気で好奇心が強い永遠の6歳児で、2m50cmの大きなカナリア、という設定ですね。今はバトンタッチされた方が演じています。
スピニー氏はビッグバード以外にも、ゴミ箱の中にいる緑色のキャラクター「オスカー」も担当していました。二つのキャラを一人で演じ続けていらっしゃったんです。だから当時は、ビッグ・バードとオスカーが同時に出演することってなかったんですよね…。(遠い目)
上の写真は、NHKでセサミストリートが放映されていた昭和52年のテキストです。なんと40年も前なのか~!月日のたつのに驚かされます。
セサミのテキストは段ボール数箱分あったんですが、10年ほど前 掃除の途中にあまり吟味もせず30冊くらいを残し、勢いで処分しちゃいました。今となっては貴重な資料かもしれません。
テキストの変遷です。左上が1974年(昭和49年)、そのまま右に1977年、1981年、左下から1988年、1993年、1996年(平成8年)のものです。著作権や肖像権の関係か、イラストの表紙時代が長かったように思います。
懐かしくなって検索していたら、偶然ネットオークションで、初期のテキスト4冊を見つけました。1972年(昭和47年)の1月~4月のものです。「これは欲しい!見たことがない!!」と思い、4冊で4千円で手に入れました。1冊千円ですね。(ちなみに元値は210円)
届いて、ワクワクしてめくってビックリ!最初の14ページはふんだんに俳優の写真が載っています。うわぁ、何て豪勢!俳優陣の写真は、70年代半ばからほとんど載らなくなったんです。亡くなったフーパーさんやデイビッド、初代のゴードンもいる!もちろん、大好きなボブもスーザンもマリアもいます。
日本ではまだ著作権なんて言われなかった昭和47年の第1号から、奥付に無断転載禁止と書かれているのが、さすがはアメリカと感心しました。でも著作権は50年間と言われます。計算すると2022年まで、あと4年で切れるんです。呆然としますが…そうなれば中もご紹介できるのではないかと思います。(笑)
セサミストリートが生まれた背景についても書かれていました。当時からアメリカの犯罪や人種問題は深刻で、その対策の一つ「ヘッドスタート計画」に基づくものだったそうです。就学前の子どもに貧富や人種の差によって生まれる教育の格差をなくそうという着想とテレビを結びつけたものでした。
当時アメリカの子どもが週平均40数時間もテレビを見ていること、それは低所得層の家庭でも同じことから、テレビそのものを教育に活用できないかという発想で、1968年(昭和43年)にチルドレンズ・テレビジョン・ワークショップが創立されました。
セサミストリートは、「数をかぞえる」「アルファベットや言葉を覚える」という読み書き・算数の基礎から、社会性の発育などのエッセンスをたくさん盛り込み、1969年(昭和44年)にスタート。1時間番組ながら、1日に2回くり返し、土曜日には再々放送が流れ、1週間で同じ番組が3回見られる画期的な番組となりました。
またマリアとルイスはプエルトリコ人という設定で、80年代頃からは英語だけでなく、簡単なスペイン語も出て来ました。私も、20までの数やあいさつは覚えてます。(笑)
NHKでは70年代から80年代初めの夏休み・冬休みには、午前と午後の2回、同じものを放映していたと思います。午前はテキストを追い、午後はそのまま視聴することで、私はまるでセサミストリートに毎日遊びに行っているような感覚になったものです。これが今思えば、異国文化への入り口となっていたんですね。
今ではYOU TUBEで、懐かしいセサミストリートをいつでも楽しむことができます。良い時代になったことに感謝です。