第828回「先人の知恵をおさらい」
11月30日 中村 覚
いつもパソコンやケータイで文を打ち込んでいると、実際に字を書くことがめっきり減り 読めるけど書けない、そんな漢字がちらほらと、いやけっこうたくさんあったりします。「ん~、知っているのに、ここまで出かかっているのに・・・」 でも 書けなければ知らないに等しいわけです。
画数が多い字など、その代表格ではないでしょうか。例えば「憂鬱」の「鬱」。グゾグゾッと何やら書いてあり、「お前、ひと昔前の漢字だろ?」と言いたくなりますが、漢字は全部 昔々また昔。
いや マジメな話、まずは手始めにと「鬱」の字は、今度なんかの時にはちゃんと書けるようにと調べてみました。まぁまぁややこしかったのですが、そんなことよりも「体に元気、ウコンの力っ!」あのウコン、「鬱金」と書くのだそうです。すっかりカタカナのウコンに慣れてしまっていますが、漢字で書いた方が効きそうに思います。
そして「鬱金香」 読みは「ウッコンコウ」。意味は「チューリップ」とのこと。「咲いた、咲いた チューリップの花が~♪」と気安く歌いましたが、チューリップの格が上がりそうです。(笑)
「諳んずる」
最近は「そらんずる」なんて言わなくなったと思いますが、小学生の頃、九九を覚える時に2×9=18(ニクジュウハチ) 3×8=24(サンパ~)と計算云々よりも先にソラで言えるようにと「音」で覚えたものです。改めて「諳んずる」とは意味も通り、覚えやすい漢字だなと思うわけです。ちなみにパソコンで「諳んずる」すぐ出ます。
こんなふうに できの良い漢字を挙げていれば切りがないわけで~、昔の人はちゃんと考えて漢字を作ってくれたんだなと改めて思います。
先日、「キョウ」と音読みする字をパラパラと辞書で調べていました。ネットなどと違い 目当ての漢字に最短でアクセスというわけにはいきませんので、調べている間 目がふらふらと寄り道をします。途中のページに「胸」という字も載っていて、「あぁ 確かに胸もキョウと読むよな」。 でもこんなわかりきった字に用事はありません。
~と思いきや、 改めて見てみると「胸」の中には「凶」という字があることにハッとさせられました。文部科学省的に言うなら胸の中には「心」があってもよさそうなものですよね。なんで「凶」?
面白いなあと思い 自分なりに考えてみたのですが、多分 人はみんな悩むもの。「相手を羨んだり、妬んだり、腹を立てて怒ったり、こういった感情になるのは当たり前。だって胸には元々「凶」が宿っているのだから。こういった気持ちになることが悪いのではなくて、こんな時、気持ちのバランスをどう取るのかが 大事なんだよ」と、先人が言ってくれているのかなと・・・。
でも調べたら実は、昔中国では人が亡くなった後、死体に悪霊が入りこまないようにと、×の印を胸に付けたそうで、そこからこの字が生まれたようです。・・・失礼いたしました。