第836回 「漢字クイズ」
2月1日 中村 覚
「忙しい」という字は「心」を「亡くす」と書くので、「忙しい、忙しい」が口癖の人は気を付けましょうね。 忙しく飛び回って仕事をしている方には「お忙しいですね」ではなく「ご活躍ですね」と言葉がけをする方が良いかもね! といった話を以前 聞いたことがあります。
「忙しい」という言葉のイメージには やるべきことが沢山あり、フル稼働で充実した日々を過ごしているイメージなのも事実ですが、漢字で書くと確かにちょっと注意が必要なのかな?とも思います。
日頃、つい「忙しくて忘れていた」と言ってしまうことがあります。または忙しくなくても単に忘れていたということも。この「忘れる」という字ですが、あれ? この字も「心」を「亡くす」と書くのだと、先日 気づきました。
ですから、例えば「あなたとの約束、忘れていました。」などと言おうものなら、「私はあなたのことなど心にありませんでした。」と言っているようなもので、大変なことになりかねません。(笑)
「忙しくて忘れていました。」となれば、ダブルパンチを食らって意識は朦朧とし ダウン寸前の状態? いや ちょっと拡大解釈し過ぎです。(笑) でも「忘れる」というのも字面を考えれば ちょっと注意が必要なのかな?と思った次第です。
この一連の話、独りよがりになってはいけないと思い、先日 友人に聞いてもらいました。すると友人 曰く「忘れる」というのは字の作りからして「下心」が「ない(亡くす)」とも考えられる。つまり「下心がないからこそ 忘れてしまう」と解釈してもいいのではないかと言うのです。
なんて清々しい青空のような解釈でしょう! 素晴らしい!
私もこっちの解釈に乗り換えです。(笑)
テストで合格点をもらえるようにと漢字のお勉強をしていた あの頃と違い、暇潰して漢和辞典をパラパラやっていると、知っているつもりの字や言葉でも、違う一面を見た! というような意外な再発見があったりします。
例えば、「戦う」ご存知、戦争の「戦」です。一字で訓読みすれば「いくさ」。血気盛んな方なら「戦」の一字を見るだけで血が沸くのではないでしょうか。(笑) では「戦ぐ」と書いて何と読むのか。もちろん私、読めませんでした。答えは「そよぐ」です。草木が風でそよそよと音を立てて揺れるさまです。なんと意外なことでしょう!
次は「雄弁」や「弁舌」、「弁が立つ」の「弁」です。論じたてる、巧みに言う、という意味です。平たく言えば、口達者というイメージだと思います。(笑)でも「弁える」と訓読みすると「わきまえる」だそうです。イメージ、全然違うぞ!とツッコミを入れたくなります。(笑)
では最後に「屈辱」や「侮辱」の「辱」についてです。名誉を傷つけられ恥ずかしい、といった意味合いで 世の中を闊歩している字だと ばかり思っていました。 で、これを訓読みすると「辱い」となります。じゃあ 何と読むのか。読めば気分はサムライですぞ。 答えは「かたじけない」。こんなブッ飛んだ読み方があっていいのかと思いました。(笑)
「辱い」⇒「もったいない、おそれおおい、ありがたい」の意味です。時代劇で何度も聞いたことがありましたが、こう書くとは いやはや 恐れ入りました。
実は手元の辞書にはこの字ともう一字「忝い」が載っています。パソコンで打つと出てくるのはこっちの字です。もう今は使わないのでしょうか?インパクトとしては「辱い」の方があると思うのですが。
温故知新とはよく言ったもので 辞書は宝の山です。なぜに小学校の時にそう思えなかったのか残念でなりません。(笑)