第840回 「限られた資源」
3月1日 (中村 覚)
雑談中のこと。ポテトチップスのカルビー、あのカルビーという名前は「カルシウム」と「ビタミン」をくっつけた名前なんだよ、と教えてもらいました。子供の頃から数え切れないほどポテトチップスを食べてきましたが、今まで社名について何の疑問も感じていませんでした。
「カルシウム」と「ビタミン」かあ・・・唸ります。(笑)
それから数日して、本屋でたまたま見つけた本がこれです。
「ロゴの秘密」。カルビーの社名の話を聞いた後だったので、自然と手が伸びるというものです。色々な会社について書かれてあり、創業者、創業年、社名の由来、スローガンの由来などなど。
カルビーもちゃんと載っていました。1955年に「松尾糧食工業」から「カルビー製菓」に社名を変更。その当時、日本人に不足していた「カルシウム」と「ビタミンB1」を組み合わせた造語。なるほど、詳しくはビタミンB1だったのかと頭に染み込みます。(笑)
他には、キャラメルで有名な「江崎グリコ」。社名はエネルギーの源のグリコーゲンが由来とのこと。 特に知りませんでしたが、グリコーゲンでグリコ・・・。 ん~、背伸びをすればなんとなく届く範囲にある感じがして、カルビーほどの驚きがありません。(笑)
やっぱり、キャラメルはもうめったに食べませんが、ポテトチップスは今でも食べるので、親近感が全然違うというのがあると思います。
とにかく 長い間 接してなんとなくわかった気でいたのに、実は大して知らなかった。こういった体験は貴重です。なぜなら ずっと知ったつもりでいる長い間、寝かしておく時間が必要なわけですから。一人一人が持っているその人だけの限りある資源ではないかと思います。(笑)
そんな限りある資源に また気がつく出来事がありました。(こんなペースだとすぐになくなってしまうかも。)
数日前のこと。夕食を済ませた後、友人とドライブに行きました。中学の時のクラスメイトで今もちょくちょく会っている間柄ですから、この日のドライブも特別にどこそこに行く!というよりは近くを軽く流すといった感じでした。車内でくだらない話を2人で垂れ流し、時間の無駄を満喫して そこそこ お腹いっぱいになった頃「じゃぁ またぁ」と別れました。
帰り道、助手席の前のダッシュボードの上にある友人の財布に気が付きました。財布? 忘れ物? 暗に お小遣いでもくれたのかと思いました。(笑)
すぐに電話です。でも出ません。何回しても出ません。そうか、いつも寝る前に風呂に入ると言っていたので、多分、風呂かな。仕方ないので、友人宅に逆戻りです。
家の前で車を停めて、さてと・・・。電話が通じないのでインターフォンを鳴らすしかありません。でも、もう22時を越えています。こんな時間にピンポ~ンとやったら、親御さんに不審がられるに違いありません。「財布を届けに友達が来るから」などと話が通っているわけもなく。もうこの歳になったら、人から不審がられたくはありません。
そして、えっ? あら?同居している親御さんの顔を私は知らない!考えてみれば、この友人の両親の顔だけを知らないのです。学生の頃からいまだに付き合いのある友人の親の顔は全員知っています、当然話したこともあります。でもこの友人のご両親だけは全く知らないのです。
おかしな話に聞こえるかもしれませんが、頭のどこかで 他の友人の親と同じように知っているつもりでいた(みたい)。 知らないという事を今まで考えた事もありませんでした。私の中で知っていることが当たり前過ぎたのです。(こんなところにも 限られた資源があったとは!)
インターフォン、鳴らさなければいけないかなぁ。
まっ、そうは言っても、 ピンポ~ン、押しました。 不審気に「はぃぃ」とお母様のお返事が。「夜分に恐れ入りますが~」と遠慮気味なご挨拶から入って、○○君がさっき車に財布を~と。 どうにかこうにか無事に渡しました。
子供の頃から知っていたなら、こんなに緊張しなくてすんだのに。(笑)
なんだかんだで 限られた資源の発掘になりました。