第844回 「逆手にとっての 宝くじ」

3月29日                   中村 覚

運転中「ピチャリッ」と音がし、よく見るとフロントガラス左下辺りに鳥のフン。これは良い!と家路の途中でしたが、進路を変えて付近のスーパーにある宝くじ売り場に向かいました。というのも以前、友人から鳥のフンが服に付いた時に宝くじを買ったら、当たったと聞いていたからです。(当選額は大きくはなかったですが、当りは当りです。)私の場合は服ではなく車ですが…、まぁ同じことだろうと。ゲン担ぎです。

で、売り場で買う宝くじの種類ですが、自分で番号を選んで当てるというのもありますが、買うきっかけが鳥のフンですから、自然な流れに任せる方が良いと思い、抽選日を3日後にひかえた“西日本宝くじ”を5枚買うことにしました。1枚200円ですので合計1000円です。

「西日本宝くじを5枚下さい」と言うと「はい、それでは10000円です。」と言われ「あっ いや、 あの 5束じゃなくて、5枚です。」普通は1セット=10枚=2000円で買う人がほとんどなのでしょう。つい店員さんも 5セット と勘違いしたみたいです。私は私で 遊び心で買っているので1000円以上出すのは違うなと思っているわけです。

お金を払うと、店員さんが 1セット=10枚入りの束を開封して、両手で扇状に広げて前に出してくれました。最初、意味がわからなかったのですが、トランプと同様、「この中からどれでも好きなのをどうぞ」としてくれているのです。まさか選ばせてもらえるとは思ってもいなかったので、これだけでも充分楽しい気分にさせてもらいました。(笑)

きっかけは鳥のフン、ゲンを担いで買った宝くじです。もう一ひねりしてみました。 昔から“残り物には福がある”と言いますから、後日、友人2人に いきさつを話して1人1枚 好きなのを引いてもらい「当たっても、外れても(結果は)言わなくていいから。」とプレゼントしました。

手元に残った3枚は精鋭のはず。一段と抽選日が楽しみというものです。

結果、4等の200円が1枚当たりました。1セット=10枚で買えば必ず1枚は入っている、最下位です。その1枚が手元に残っていたのです。

まずまずの結果にちょっと嬉しくなります。 よし 次回、鳥のフンが付いた時には3枚購入して、今回と同様 友人に2枚あげて、今度は1枚のみで勝負だな。 ~で、また200円が当たれば、かなりの高確率ということに…。 ん? いや それって ただの赤字だろ。今回もそうだぞ。 しっかりしろ 眠たいのか? だいたい宝くじの楽しみ方って、こういうことではありません。(笑)

抽選日の翌日、1人の友人から電話があり
「中村、(あれ)外れたぞ。」
「気持ちはわかるよ。当たっていても、当たったとは言いにくいろう?
まぁ、(当たったお金で)家族でおいしいものでも食べてくれ。」
「だから、当たってないって…(笑)」

この一連の話をちょうど家に来ていた親戚の叔母にしたところ、事故に遭った時にも宝くじを買うと良いらしいと言うのです。事故から連想する“当たる” わからなくもないですが、けっこうブラックだなと。(笑)

でも、要は「あちゃー、やってしまったぁ…」と気分が落ち込むようなことに出くわした時、気持ちを立て直すために あえて逆の振る舞いをする。その一例が“宝くじ”みたいなことなのでしょうか。

そもそも友人の服に鳥のフンが付いたというのも朝の出勤時のことでした。慌ただしい時間帯、服を着替えに帰らなければならない手間、決して気分が良いわけではありません。それならば~、と逆手にとっての 宝くじ。(笑)

昔、お皿を落として割ってしまうと「繁盛!繁盛!」と言ったという祖母の話を思い出します。割れた破片の様から“末広がり”を連想してのことでしょうか。もちろん割れて惜しいに決まっています。でも悔やんでもしかたがない。「繁盛!繁盛!」

そして 今の様に物が溢れた時代ではないので、多少欠けたぐらいのお皿ならまだまだ使っていたようです。そのお皿の呼び名は 「おかげさま」。 “欠けている”から“おかげさま”。

「あちゃー、やってしまったぁ…」となった時、気持ちを立て直すための言動の1つや2つ 持っておくのも良いかもしれません。(笑)