第847回 「ポジティブ心理学、夢の共演」

4月20日

先週末は東京で、ポジティブ心理学による人生の意義を確認できた素晴らしい三日間を過ごしました。

まずは【Well-Being 3.0 カンファレンス】で様々な方々の対談を伺いました。Well-Beingとは、心身・社会的にも健康で幸せな状態を言います。
中でも面白かったのは【テクノロジーの発展とWell-Beingの測定】。

幸福度を測ることは難しいと言われる中、Web上のビッグデータを解析して測定するライル・アンガー教授の手法は広く知られています。日本のHITACHIの「体の動きのデータ集積だけで幸せかどうかわかるようになった」という話にも、そこまで来てるのか!とワクワクしました。

次の日からは【ポジティブ心理学プラクティショナー認定ワークショップ 】2日間にファシリテーターとしての参加でした。
ポジティブ心理学の創始者セリグマン博士だけでもすごいのに、セリグマン博士のご尽力でディーナー博士やタル・ベン・シャハー博士など、豪華講師陣4名の方々が世界初の夢の共演となったのです。

この近さで、あの伝説の先生方のお話を伺えるなんて…その贅沢さと内容の素晴らしさには感無量でした。

力強く語るポジティブ心理学の父、マーティン・セリグマン博士。
昨年のポジティブ心理学の基礎的な内容にプラスして、ポジティブ心理学は政治の分野でも活かすことができるのか、というお話もなさっていました。「地上のWell-Beingを高めることが私の人生の意味だ」とお話しなさっていたのが印象的でした。

Dr.ハピネスことエド・ディーナー博士。
日本がワールドレポートで幸福度が58位まで下がっている現状に対して、
「それを心配するより、以前より向上しているかを意識しよう」、
「結婚が素晴らしいのではなく、素晴らしい人が結婚して幸せな結婚になるのだ」、「もし自分が不幸なら、他の人を幸せにしていくこと」などいくつもの示唆が得られました。

エミリー・スミスさん。「ポジティブ心理学を学ぶジャーナリストです」と自己紹介し、「目的ある人生を生きる」ことの重要性をお話し下さいました。穏やかな笑顔で会場を包み、かと思えば「人生の4つの柱」のワークでダイナミックに聴衆を動かし、人間力があふれる素晴らしい女性でした。

そして私が一番お目にかかりたかった タル・ベン・シャハー博士。
「幸福になるには、まずネガティブ感情を受け入れること。ネガティブ感情をなかったことにすると、強化されてしまう。まずは受け止めよう。」

「ストレスが問題なのではない。ジムでも心理的問題でもストレスは良いことで、それがレジリエンスを強くしてくれる。問題は、十分な回復期間が取れないことだ。
人生の中でのストレスの利点を考えよう」。

「現代社会は【AかBか】で排他的だが、日本は【A and B】の包括的だ。
大阪はすべてが早いが、電車で30分の京都はゆっくりで平和的で穏やか。
日本は大阪 and 京都。どちらもあるのが素晴らしい。」

「人生の意味を見つけよう。あなたの仕事の使命は何ですか?」

「NATAN(ヘブライ語で与える)。与えることが即、受け取ることになる。
GIVERとは、寛大に与える人。大事なことは、自分にも与えること。」

あっという間の4時間。終わると皆さん自然にスタンディングオベーション!!さすがはハーバードで幸福学教室を教えていらっしゃる先生です。それまであまり積極的ではなかった参加者も思わず席を立って拍手をしている姿が本当に嬉しかったです。

今回いらして下さった先生方の共通点として、上から「ものを教える」のではなく、参加者と皆フラットで自由にものを言いやすい雰囲気を作ってくださっていたのが講師としてさすがだなぁと非常に勉強になりました。これは人間力の高さの表れだと思います。少しでも見習いたい!と強く思いました。

そして幸福になるための5つの要素、PERMA。今回は特にM(人生の意義、意味)とR(良き人間関係)が心に残りました。自分の人生における目的、方向性はこれでいいんだと意を強くできましたし、ファシリテーター仲間の皆さんとたくさん心が触れ合えた時間を頂けました。

余談ですが、セリグマン博士がディーナー博士の講演中に茶々を入れたり意見を挟んだりなさっていたのが、高知工科大学 大学院起業家コースで学んでいたときの先生方同士で議論が白熱した時のことを思い出し、熱意あふれる学びの場って同じなんだと感じ入りました。

そして昨年に続き1億円もの投資をして、日本に本物のポジティブ心理学を根付かせて学びのチャンスをくださった矢澤祐史さん、心からありがとうございました。

さあ、これから高知で、これをどう活かしていきましょうか?(笑)
2025年に日本の人口の25%が幸福を感じられるPERMA 25JAPANが達成できるように、自分には何ができるだろうかというのが次の課題です。
あせらずにじっくりと考え、取り組みます。