第859回 「足摺① 大岩の巨石」

7月9日

高知県最南端の土佐清水市足摺岬では、古代巨石文化の跡ではないかと言われている「唐人駄馬」が非常に有名です。パワースポットとも言われるようになり、その神秘的な光景を見ようと県内外から、たくさんの観光客が訪れるようになりました。

私にとって足摺は、小学2年生の頃から毎夏 遊びに行っていた懐かしい場所でもあります。実は足摺は唐人駄馬以外にも印象的な巨石があるんですが、意外にネットにもほとんど載っていません。せっかくですので、ご紹介しましょう。

足摺スカイラインの終点から西に300mくらいに、その名も「大岩」というバス停があります。

そこには…

「灘の大岩」と呼ばれる巨岩があります。この大岩の近くに毎年遊びに行っていたこともあり、私には昔から慣れ親しんだスポットなんです。

てっぺんは、二階建ての屋根よりも高いのです。10m以上はあるんじゃないでしょうか。

この大岩には上れませんが、左の小道をずうっと上っていくとその上に太平洋が一望できる岩があり、そこは昔「日和見の石」と呼ばれていたようです。(私と足摺の幼なじみは、そこも「大岩」と呼んでいましたが)
「ふるさと足摺」(昭和60年、発行所 土佐清水市足摺岬区長場)という本には、次のような一文が載っています。

県道から段々畑を登ること約百メートル、樹林に入ったところに山肌に突き出した大きな花崗岩があります。約10度の傾斜を保ち、上は6畳敷き程の平らな広さがあります。土地の人たちは、この岩を「日和見(ひよりみ)の石」と呼んでいます。

この石からの景観は格別に素晴らしいものです。東は足摺岬の燈台、西はウスバエから遠く沖の島まで展望することができます。(中略)古老の話によりますと
“昔から日没時に、あの岩の上に登り、天候の観察を行っていたのでその名が付いた”といいます。

私も、子供の頃から眺めの良いこの岩が大好きで、よく上っていました。これはその景色を再現したいと、今から35年ほど前に撮った写真です。(クリックすると拡大します)

1984年頃。昔は遠くの岩礁まで、こんなにスッキリと見えてたんですよ。
岩の上の広さは、この下の写真くらいありました。
(もっと真面目に撮っておけば良かった…笑)

今年、どうしてもここからの景色を久しぶりに見てみたくて行ったのですが、道は荒れてほぼ廃道状態で、上るのに一苦労しました。何よりせっかく上ったのに、目の前や眼下の木々が茂りすぎていたのです。

2019年の同じ場所の写真。景色がほとんど見えなくなっているのです。ショック!
足下の岩にもびっしりとツタが生えていて、上がれるものではありませんでした。

手入れをしなくなると、こんなにも変わり果てるのですね。残念無念。

足摺岬一帯は国立公園に指定されているので、木々を切ることができないと聞いたことがあります。ここも整備すれば絶好の観光スポットになるでしょうが、あえてそうせずに埋もれさせておく方がいいのでしょうか…。