第873回 「治水対策」
10月19日
12日から13日にかけて台風19号で被害に遭われた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。どうか温かい場所で、ゆっくりとお休みになれる日々が早く戻りますように。
スーパー台風と言われた19号の被害は東日本で本当に大きく、国土交通省によると、台風19号により決壊した堤防の数は全国で、130カ所にのぼったとか。連日NHKでは大きく時間を割いて関連ニュースを伝えています。たびたび豪雨に襲われている高知県でも、人ごとではなく、心が痛くなります。
東京都内では下水管の排水能力は1時間に50ミリ。降雨量が多い高知市の場合は77ミリですが、近年多発している時間雨量100ミリ超えの場合には、とうてい追いつきません。温暖化の影響もあり、今後ますます豪雨がひどくなることを考えると、不安になります。
(写真は2014年の高知市浸水時)
今回の規格外とも言える降水量には、「地下神殿」とも言われる首都圏外郭放水路が大きな役割を果たしたと言われています。どこかで見た写真から、大きなプールのようなものかとイメージしていたのですが、地底50メートルに、長さ約6.3キロを流れる、世界最大級の地下放水路だそうです。
高知県は1998年、高知市の3分の1が水没したとも言われる98豪雨など、過去に甚大な被害を受けてきた経緯があります。そのため、豪雨時の排水能力の向上や河川の改修などの治水対策に長年尽力してきました。ポンプによる排水能力は、全国でもトップクラスだそうです。(その代わり、都市整備などはずいぶんと遅れていましたが)
実は高知市には「地下神殿」こそありませんが、それに近い「雨水貯留管」が昨年、完成しました。高知市宝町から高埇の産業道路の地下には、東西約2.7kmに及ぶ直径3.5mの管が通っています。高知駅から北への420mの管も合わさり、合計で25mプール約70杯分に相当する2万6400トンを貯水することができます。下水道管が一定の水位を超えると、あふれた水が貯留管に流れるような仕組みになっているようです。
こうした「モノ」に対して「人」もまた、頑張っています。
2014年の台風12号の豪雨の際には、72時間で829.5ミリを記録し、高知市内全域には避難勧告が出されました。(上の写真です。)
この時 鏡ダムの管理事務所ではゲートの開閉をコンピュータ制御から手動に切り替え、水位と降水量を見極めつつ数cm単位でダムの開閉を行い河川の氾濫を防いだ「ダム職人」がいたそうです。すごい!まさにA I をしのぐ人間の英知です。
大型の台風や集中豪雨で、時間雨量100ミリ超えがあちこちで頻発するようになり、気象は大きく変わってきました。こういったシステムで街を、命を守ることが全国的に今後の重要な課題となるのでしょう。