第679回 「年神様」

1月15日            (中村覚)

何事も勢い付けば、タタタッーと流れに任せて一気にやってしまいたくなる性分です。昨年末の大掃除など その最たるものです。窓ガラスを拭いて、水回りは磨いて、要らない物は捨ててと 正月に向けて王道まっしぐらでした。

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これらにプラスして例年になく塀磨きにもちょっとばかり精を出しました。ところが、力任せに たわしでゴシゴシやってた 2日目、急に首、肩、に痛みが出て 左右はおろかしっかりと上を向くこともできなくなってしまいました。こうなると塀磨きはもちろん、その他の掃除もストップ。大事なのは休養に早変わりです。家や部屋が徐々にきれいになっていく様を見るのは気分も良かっただけに途中で止めなければならないのは悔しく、気持ちだけエンジンがかかったままでした。

そして、2日後 やっと首が治りはじめた頃、「完治は待ってはおれぬ・・・ 見切り発車、掃除再開!」しかし、すでに元旦。子供の頃に聞いた言葉が頭をよぎります。「正月、三が日は掃除をしてはいけない、福を逃がす、家から福が出て行く~。」 みなさんはこういった事をお聞きになったことがあるでしょうか。

でも 世も既に平成28年、21世紀ですぞ。お戯れを申すな、きれいに掃除をして何が悪い。 そもそも大掃除をしたぐらいで 「福が家にやって来る」という考え自体、かなりオメデタイですぞ!(笑)

大掃除の続きをやりたいばかりに、こんな風に考えたのでした。けれど一通り文句は言ったものの、やっぱりやらない方が良いかなあと。長い物には巻かれろです。

そして、この一連の流れを後日、筒井に聞いてもらったところ、「大掃除をしたから福が来るんじゃなくて、お正月にトシガミサマを迎えるために掃除をするんじゃないの?」と言われました。 ・・・トシガミサマ?どなた様?

初めて聞く名です、調べました。
年神様。 神です。 私が悪うございました。

大掃除は年神様を迎えるためのもの、そして正月 三が日に掃除をすることは年神様を家から追い出すことになるのだそうです。ほうきで掃けば運を吐き出す、水で洗い仕事をすれば、幸運を流す などなど。知らないとは罪ですね。なんとご無礼なことを・・・。 所詮、人間ふぜい、やはり ここは ゴマすりすりしておかねば。

年神様のご紹介です。 皆さん、よぅ~くお聞きください。
年神様とは、1年の幸せをもたらす新年の神様。(神道の神) 別名 「正月様」。

祖霊神や山の神でもあるので、子孫繁栄、五穀豊穣と関連があり、幸福や健康を授けてくれるとされています。元旦に年神様をお迎えする意味から、新年を“迎える”と表現するのだそうです。掃除、門松、しめ縄、しめ飾り、鏡餅などは全てお迎えするための準備なのです。(そうだったのかぁ~、キレイに全部 知りませんでした。)

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門松は年神様が家々に迷わずやってくるための目印。

「 門松を飾っておく期間 = 年神様がいらっしゃる期間 」 と考え、1月7日まで。 これを「松の内」と言います。ちなみに松の内にしておくこととして、初詣、年賀状のやり取り、年始のご挨拶などがあるそうです。

しめ縄、しめ飾りは年神様をお迎えするための神聖な場所の意味。

天照大神が岩戸に2度と隠れないように、縄をはったとされる日本神話に由来してのことです。しめ飾りは玄関に飾ることで、災いが家に入って来るのを防ぐようです。しめ飾りを飾る期間は門松と同じで、一般的には1月7日の松の内までとのこと。

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鏡餅は家にいらっしゃった年神様の依り代(居場所)になります。

神社ではよく鏡をご神体としている所があります。 そのご神体の鏡をお餅で表現したことから鏡餅と呼ばれるようになったそうです。丸い形も昔の鏡を元にしており、大小2段になっているのは、月と太陽、陰と陽の表現で、円満に年を重ねるといった意味合いです。

このように、正月になれば今まで当たり前のように見てきた物にも、ちゃんと意味があるんですね。そうとわかれば、やっぱり新年早々の掃除は お控えなスって!

まっ こういった話は、人それぞれ 「信じる」、「信じない」あると思いますが、意味付けとして、ちょっと面白いかも? と感じることができるものは、知ってて損はないかなと思います。いや もっと正直に言うと、子供の頃から「日本昔ばなし」が好きだったせいか、知ってしまえば好感を持って素直に従うのです。(笑)