第905回 「困難から学ぶ」
5月31日
コロナ禍は様々な影響を及ぼしていますが、スポーツをしている高校3年生はとりわけ影響が深刻なようです。1年・2年と部活動で下積みをして、さあ自分たちの時代だ!というところで、コロナショック。全国大会での成果を実績にするつもりだったのが中止になり、スカウトやスポーツ推薦などのこれからの人生展望までなくしてしまったのですから。
人生を何十年も生きていると時に思いがけない不幸がふりかかり、みんな山あり谷ありを経験することがわかってきます。でも、まだ20年にも満たない人生経験しかない10代の若者には、前後数年の世代との比較で苦しみが生まれることも少なくないでしょう。
(なぜ、自分たちだけがこんな目に遭うのだろうか?)と悩んだり自暴自棄になったりしてしまう生徒がいても、無理からぬことだと思います。全国の友人と情報交換したところ、そうした高校生がストレスで暴走してしまい暴力沙汰を起こしたり退学などになってしまった話も聞きました。これはあまりにも残念な、胸の痛む話です。
ラグビー界では、パフォーマンスを披露する場がなく、才能が埋もれてしまう問題に日本ラグビー協会が『#ラグビーを止めるな2020』プロジェクトを立ち上げました。高校3年生のプレー動画集を作成し、「#ラグビーを止めるな2020」をつけてTwitterに動画をアップすることで、大学やトップリーグのリクルーターが有能な高校生など若い選手のプレーを見る機会を増やす試みです。
「できない」ことを決めるだけではなく、「できることは何か……」を考えましょう、と西武の松坂大輔さんもコメントなさっていました。
今の時期に、そんな生徒さんをはじめ多くの方々にお勧めしたい本があります。
「ハーバードの人生を変える授業」。ハーバード大学で幸せな人生を送るための考え方、行動について心理学に基づいて説いたタル・ベン・シャハー博士の伝説の授業のエッセンスを集めたものです。
人は、困難な時期があるからこそ、より大きな喜びを感じられるようになる。困難こそが喜びへの感謝の気持ちを作り、この感謝の気持ちこそが、真の生きがいや喜びの源になる。
だから、困難を避けるのではなく、困難から学ぶことが大切である、ということですね。これ、まさに今のコロナ禍の時期に必要なことではないでしょうか。何十年も生きている大人たちが経験に基づき、よりよい人生を生きるためのサポートを10代の若者たちに行うべきなのでしょう。
ただ コロナ禍での様々なリーダー対応に見られるように、時には失敗することもあるでしょう。でも、そこから学ぶことが大切であり、迷いながらもよりよい人生を自分が創れることを信じ、それでも前を向くことが大事なのだと信じています。