第907回 「 鍛錬<習慣 」

6月13日        中村 覚

 

先週、庭に植わっていた直径が30㎝程あるアオギの木を切りました。40年近く暮らしを共にしてきましたが、あまりに根が張り過ぎると、ちょうど庭の下にある掘り車庫にもよくないのではないかと思い、幹からバッサリ。ノコギリよりナタの方が早いかなと思い「カーンッ、カーンッ、カーンッ」と休憩を入れながら30分ぐらいで終わりました。いい汗をかきつつ庭もさっぱりして 良かった 良かった。

ところが次の日、右の首と肩がつっぱるように痛いのです。そうです、前日に何度となくナタをふるったからです。 休憩をいれながら30分程度のことでしたので、まさか次の日にこんな“おつり”がくるとは意外でした。“急に慣れないことはしてはいけない” そうかもしれませんが、それほどの無理はしていないはず…。 にも関わらず この体たらく。よしっ、これは鍛えなければ!

などと意気込んではみたものの、だいたい何事にも“熱しやすく冷めやすい”のです。「鍛錬」という言葉の響きも好きですが、よくよく考えると鍛錬している人を「スゴいなぁ」と側から見ているのが好き。こんな自分に気付いた時はビックリしました。

いや真面目な話、特定の目的でもない限り、日常生活を送るにあたって大事なのは鍛錬より習慣の方じゃないかと「無理の効かない体」を大前提にそう思うようになりました。

以前、聞いた話ですが、医大生が病院にインターンシップに行った時、スタッフの方同様に院内を移動する際には、原則 階段を使用してくださいと言われたそうです。一日に何度となく階段の上がり下りが始まります。たとえば6階など高い階への移動となると、日頃エレベーターに慣れてしまっている学生さんからすれば「…いや もちろん、やりますけど、ちょっと…(苦)」みたいな。 スタッフさんの方が年齢はずっと上なのに階段を上がる速度も速かったりするそうです。習慣のたまものですよね。

たまにお邪魔するお家があるのですが、「掃除が趣味ですか?」と言うぐらい、いつ行っても部屋がキレイです。もともと綺麗好きな人なんです。じゃあそうではない部屋に住んでいる人達が綺麗好きじゃないかと言えば、そんなことはありません!(笑)

自分の家が一番きれいになる時と言えば 年末の大掃除。一夜漬けの勉強よろしく短期間にギュッと凝縮して次から次へとあくせく動き回り、しまいには「なんでこんなにしんどい思いまでして~」と面白くありません。ただ大晦日には「まぁ なんとか80点ぐらいは取れたかな」とちょっとした自己満足感はあります。またすぐに散らかるんですけど。

すると家が言うんです。「ねぇねぇ 君達。束の間の80点よりも年間を通しての平均点をもうちょっと上げてくれる方が助かるんだけど。大掃除もいいけど日頃からのプチプチ掃除の方が楽で良いよ。よろしくね。」(笑)

最後に、実は自分が一番習慣化した方が良いと思っているのは、この文章を書くということです。月に1度、必ず書いていますが、いつも いつも いつも、ず~っと書くのに四苦八苦しています。代表の筒井は書くのが好きらしいんですが、私はそもそも違います。一度相談しました。

「筒井さん、書くことが本当にありません。」
「それは書くことがないんじゃなくて、書くことに慣れていないだけ。月に1回しか書いてないからよ、2回にしてあげようか?(笑)」

正論って、面白くないですよねー。(笑)