第914回 「料理の最後の味付け」
8月1日
先日、ランチに初めてのステーキハウスを予約して次女と訪れました。店に入り「予約していた○○ですが」と言うと、ウエイターはチラッと見て「お好きなところへどうぞ」。
メニューにあった「期間限定 土佐あかうしのステーキ」を頼むと、「それ、売り切れです。期間限定なんで。」ん?それならそう書いてくれればいいのにな。
お祝いなのでちょっと奮発して、フィレステーキのコースを頼みました。
ごく一般的なレタスサラダが来て、その後味噌汁、ごはん、メインのステーキが並びました。期待して一口頂くと、フィレなのに脂が多い?そして、味がほとんどない。付け合わせのもやしとニラも同じです。「おかしいなあ」と思いつつ半分ほど食べたところで隣の席を見ると、ソース皿が来ていないことに気づきました。
「すみません、ソースがないんですが」と言うとウエイターが持ってきたのですが、お詫びの言葉もなく黙ってお皿を置くだけ。さすがに、カチンと来ました。
食べ終わると目の前でお皿の上に、お椀やソース皿をカチャカチャ全部重ねるウエイター。とても4千円のコースの接客ではありません。たまりかねて
「客の目の前でお皿を重ねますか?」
と注意をしたら、憮然として「すみません」と投げやりに言って、やっぱり次女のお皿も同じように目の前で重ねて、下げていきました。
サービス業の研修で、よく顧客の心理グラフを解説します。最初に店に入る時のお客さまの心理状態は、医療などではマイナスから始まり、レストランなどではプラスから始まるのが一般的です。これは、期待値の高低によるものです。
その後サービスの内容によって心理は上下するわけですが、最初にプラスだったとしてもその後のサービスが悪ければ、プラスはゼロに、そしてマイナスにとどんどん下がっていきます。そしてある一線で、クレームに達してしまうのですが、まさに、そういう心境でした。
私たちは最後のコーヒーが来る前に、飲む気をなくして席を立ちました。相変わらず強気のウエイターは、お勘定でも「2千円です」とおつりを渡すだけ。その上私たちが店を出る時、大きなため息をついていました。他にもお客さまはいらっしゃるのに。そのプロ意識のなさには、あきれるばかりでした。
そして先日、また次女と あるカフェに行きました。ネットで見て初めてのお店でしたが、お料理が美味しくて満たされた気持ちになりました。
店主さんもとても感じが良く、お腹の大きな次女に「もうすぐですね」と笑顔で話しかけてくれたのです。その一言で、こちらもとても嬉しい気持ちになりました。
店主さんと話す内に、思いがけない共通点が見つかり話も盛り上がり、店を出る時、次女と「今日はここに来て良かった。美味しかったね」と言い合ったことでした。
コロナ禍も第2波が騒がれる今、誰かと会食できるだけで 有り難いことですね。
また店舗としても一期一会のお客さまとのご縁は大切かとと思いますが、接遇が良ければより美味しく感じるし、悪ければせっかくの料理も美味しくなくなってしまうものです。料理の最後の味付けは、お店の方の接遇だなあとつくづく感じたことでした。