第916回 「ようこそ、赤ちゃん」
8月16日
今週 我が家に、初孫となる次女の赤ちゃんがやって来ました。
初め 里帰りの予定はなかったのですが、急遽帰ることになりました。私は長女が出産時のトラブルで障害児になってしまったため、「とにかく母子ともに元気で生まれて欲しい!」というのが一番の願いでした。ありがたいことに、二人とも元気に退院してくれて安堵しました。
コロナ禍での出産で、病院もお見舞い禁止になっていました。次女に付き添った婿も、出産後2時間しかいられなかったそうです。もちろん私たち親族も退院するまで会えませんでしたが、「忙しい入院スケジュールを自分のペースで過ごせたことは返って良かったね」と言うと、次女も「そうやね」と同意していました。
およそ30年ぶりの赤ちゃんのお世話です。わが家ではご存じの通り、「老障介護」(高齢の親が障がいのある子どもの介護をし続けること)の状況です。育児と介護を続けて34年、仕事が加わって23年なので、言わばベテラン(のはず・笑)。お世話の要領は基本同じなので、わりとすんなり育児サポートができました。
それにしても昔ながらの里帰りというシステムは、つくづくよくできているなと思います。授乳、おむつ替え、お風呂、赤ちゃんのタオルなど3~4倍になる洗濯物、食事や洗い物、掃除、環境を整えるなど、やることは山のようにあるわけです。育児に言わばチームであたれば、お母さんは授乳などにより集中できるわけですもんね。
これを経験すると、現在よく言われている「ワンオペ育児」=子育てと家事(+仕事も)のすべてを1人でこなさなければならない状況が、いかに大変なことかわかります。まして上にお兄ちゃんやお姉ちゃんがいる場合には…。
私も朝 寝不足の次女を少しだけベッドに行かせ、長女のデイサービスの連絡帳を横目で見ながら赤ちゃんをあやし、その日の仕事の優先順位をつけた時、ほんの少しわかった気がしました。すべてのワンオペ育児をなさるママ(パパ)に、敬意を表します。
子育てツールの変化も驚きです。上のラッコのエアーバスタブもびっくりでしたが、授乳の時に次女が携帯を手にしているので注意しようとしたら、授乳タイマーでした。なんでも「ぴよログ」という育児記録アプリだそうで、おしっこや授乳、寝た時間など両親でデータ共有ができるそうです。協力して子育てをする時代の象徴ですね。特に授乳は左右それぞれ何分飲ませたとか、授乳を始めて5分過ぎると音でお知らせするなど、なかなか便利で感心しました。
新米ママは大変ですが、赤ちゃんからのプレゼントもあります。生まれたての赤ちゃんが見せる、笑顔のような表情のことを「新生児微笑(しんせいじびしょう)」と言うそうです。生後1ヶ月までの新生児期に、寝入りばなや寝ている間、ほんの一瞬赤ちゃんが目を閉じたままにっこりすることです。私も見ましたが、「あっ、笑った!」と嬉しい気分になりました。反射みたいなものでしょうが、「天使の微笑」とも言われるそうです。
小さな赤ちゃんは本当に無力ですが、澄んだ瞳で見つめられ、弱々しい声で泣いていると誰かが助けてやらねば、という気持ちになります。あの大統領も気難しい学者も口うるさいおばさんも、み~んな最初は同じ小ちゃな赤ちゃんだったんだ、と思うとちょっと愉快です。そして、すべての赤ちゃんが幸せに育って欲しいと心から思います。