第686回 「コミュニケーションのバランス」

3月5日

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最近「Aさんは話す一方で人の話を聴かないから、次回から何かの時に呼ぶのはやめよう」という話を、何回か聞きました。そう言われる「Aさん」は男性の場合も女性の場合もあります。しかしそう話している人が意地悪ではなく、むしろ日頃面倒見が良い人だったりすると、(この人はそんなにそれが嫌だったのか…)と気づくのです。

人は誰しも、「話す」と「聞く」比率の心地良いバランスというものがあるのでしょう。たとえば2人で話している時なら一方的にならないよう、お互い半々の5:5が理想的でしょうか。もっとも、当事者の特性で「私は話すのが苦手」なら話し好きな相手にたくさん話してもらっても、もちろんOK。「この人の話を聴きたい」とか、「好きな人の話なら、ずっと聞いていても苦にならない」ってこともありますよね。

そういった場合なら「話す」のが1で「聞く」が9の1:9でも、うまく行くのでしょう。バランスが偏っていてもグループ内でお互いに納得がいっているのであれば、別にトラブルにはなりませんよね。

問題はそうではなく、一般的な場合です。何人かで話しているにも関わらず、特定の人がずっとしゃべり続けている場合。「Aさんは確かに話が面白いんだけど、『いつも』『ずっと』コミュニケーションを独占している」ように周りに映ると、継続的な人間関係の場合は、排除の論理が働く場合があることに、思い当たる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

通常 コミュニケーションのバランスについてまでは、あまり思いが至らないことが多い気がします。話し上手と言われているにも関わらず、そこに無頓着な方は結構いらっしゃいます。しかし話を独占するということは、常に自分中心に話が展開する、つまり相手に話を振っていない=相手を尊重していないように映るのではないでしょうか。

人は誰しも自分が話したい欲求があります。「いや、自分はそうではない」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、自己承認欲求=「私を認めて欲しい」思いは「自分の話を聴いて欲しい」につながると思います。

私自身、「Bさんは良い人なんだけれど、なぜ会うことに気が進まないのだろう?」と不思議に思うことがあり、思い返してみると「話す」と「聞く」比率が2:8くらいに感じられることに気づきました。「そう言えばBさんと会うと話を振られることがほぼなくて、Bさんの話ばかりだな」と思い当たり、納得したことでした。

人は若い時には長い学生生活で協調性が高く、話すより聞く方が得意の人が多いようですが、年を取るにつれ主体性が高くなり、おしゃべりになります。特に日本人はそうではないでしょうか。だから「年を重ねるほど、コミュニケーションのバランスに配慮しなければいけないなあ」と、これも他山の石です。

真の話し上手は、コミュニケーションのバランスにも配慮ができますから、もし「あ、今 自分がしゃべりすぎてるな」と感じたら、「◯◯さんはどう?」と話をしてない人にうまく振る。これ、大事だと思います。話をしてない人は話題がないのではなく、話す順番待ちをしている場合も多いのです。だから話を振ると、感心するような視点を提供してくれることも少なからずあります。

コミュニケーションのバランスに気をつけることができれば、あなたも「付き合って心地良い人」「よりコミュニケーションをとりたい人」に近づけることでしょう。ぜひ、時にはふり返ってみて下さい。