第948回 「鉛筆」
4月2日 中村 覚
オークションで見かけて、つい買ってしまったのがこれらの古い鉛筆です。
今の時代とは違うケースの絵柄が良かったからです。全て未使用品ですので、きれいな鉛筆がそのまま入っています。3つとも同じ出品者からの物で1つが200円。送料を入れても1000円かからず、そのことも嬉しさの一因でした。
「レトロ・鉛筆」などで検索をかけるとたくさんの品が出てきます。でも実際に鉛筆を使うわけではなくただの観賞用ですので、あまり高価な物に手を出してはいけません。(笑)自分に「しばり」をかけつつ色々探している内に王様級の品を見つけました。
それがこちら。
いかがでしょう、この重厚感。たかが鉛筆、されど鉛筆、これぞ鉛筆。有名なトンボ鉛筆です。これまで何度となく見たことはあったのですが、今回パッケージのデザインを改めてちゃんと見てみると、素晴らしい!
しかもこれ、アマゾンで340円。こんな素敵なデザインの物が「実は、今でも買える!」
一気にお熱が上がり、その流れのままアマゾンに勧められて購入したのが、こちら。
「トンボ鉛筆8900番70周年限定セット」と銘打ち2019年に発売されたカンペンケースで、中にはHBの鉛筆が6本。この8900番のオリーブ色の軸と黄色のパッケージは、1948年から現在まで ほとんど変わっていないとのことです。
カンペンケースはビニール製やプラスチック製品ではないので、末永く使えるところも嬉しいです。2年も前に発売された限定品をしっかり紹介してくれて、ちゃんとそれを売ってくれる!ありがとう、アマゾン。(笑)
ところで、「鉛筆」にまつわる思い出は世代によってまちまちでしょう。私の記憶では小学校の低学年までは鉛筆を使っていましたが(そう指導されていたと思います。)高学年になると便利なシャーペンを知ります。しかし担任の先生は「(基本的には)シャーペンはダメですよ」と。でもそうは言いつつ日頃は黙認してくれていて~、テストの時になると「しっかり鉛筆で書くように。」そんな記憶があります。
そして他愛もないことですが、今でもしっかり覚えているのは、鉛筆の端を持って上下にプラプラ揺らすと、硬いはずの鉛筆が「ふにゃふにゃ」に見えるという、あの目の錯覚です。(笑)
こんな感じで揺らすのですが、「ふにゃふにゃ感」は写真に撮ることはできません。が、「念ずれば通ず。」 色んな鉛筆で何度か試すうちに「おおぉっ!」
更に、集中力を高めると、束にした鉛筆もこの通り!
最後には、こんな感じに。(笑)
実はこれ、曲がる鉛筆なんです。「くねくね鉛筆」で検索すると出てくる、名前の通り、くねくねの鉛筆です。面白そうと思い購入しましたが、一直線に伸ばした普通の状態でも書きづらく、エンターテインメントとしての鉛筆かなと。(笑)
ところで、近年、子供達の字を書く時の筆圧が弱っていて、そのためにBや2Bを使う学校が増えているようです。昔であれば小学校で使用する鉛筆と言えばHBでした。濃いBなどは硬筆の時間しか使わず、しかも書いた字の上を手でこすろうものなら、すぐに汚くなって…。
今では鉛筆の売り上げのトップは2Bです。HBのシェアはかなり低下しているとのこと。子供の筆圧と脳の発育には関連があり、筆圧の低下を危惧するという意見もありますが、厳密にどの程度の影響が?というのはなかなか難しいと思います。でもより簡単に、より便利に、否応なくそういう流れに沿っていくものなのでしょう。
公的な文章を手書きで~など もうすでに考えられず、液晶画面にタッチペンや指で気軽にメモする時代です。一般的には筆記用具は、後から見返す、確認するためにメモを取るためのツールです。しかし今では書き留めておく以外にも音声や画像、動画で簡単に記録を残せます。
時代の流れを全肯定するわけではありませんが、数十年もたてば、鉛筆はレトロな文具の代表格かもしれません。