第949回 「遊び心と心遣い」

4月9日          中村 覚

「中村、これ、あげる」そう言われて出されたのがこちら。

絵柄が面白いと思い、「あぁ、ありがとう」とつい即答です。(笑)
「中身、見て」と言われ、「?」と思いつつも底の部分をスライドさせるとジャラジャラと小銭が…。

「この間のお昼代。」そう言われれば、すっかり忘れていましたが、立て替えていたような。何百何十何円まできっちりと入っています。数字が細かいだけにこういった形で渡されて意表を突かれました。(笑)

聞けば、入れ物自体を気に入って、「いつかどっかで使えないかな?」とまとめて数個買っていたとのこと。貸し借りなし!ということで1円の単位までちゃんと計算をして、というのはよくある話ですが、その代金が封筒に入っているのか、ビニール袋か、はたまたそのままなのか…。
今回、すっかりやられました。(笑)

そう言えば、数年前のある日のこと。ドライブの途中でアンティークショップを見かけました。これまで全然気が付かなかったので、どうも新しくオープンしたに違いないと思い、中に入ってバケツかなんかを買ったと記憶しています。

レジをすませ、店を出て歩いていると、後ろからオーナーさんが来て「これ、おまけです」と。その時、もらったのがこちら。

古い50円玉です。写真をご覧になって懐かしいと思われる方もいらっしゃると思います。でも私はこの時が初見だったのでちょっと珍しかったのです。

今の50円玉との比較です。(右が今の50円。)
昔の物が一回り大きいです。

裏面。菊の花の中心がくりぬかれています。この構図は今でも斬新かと。

飛び切り珍しい物を頂いてしまうと気が引けてしまいますが、「おまけ」と言われてもらった50円玉。オーナーさんの気持ちと遊び心が今も印象深く残っています。
相手の方の心遣いがちょっとした物を通して表現されていると、こちらの気持ちもくすぐられます。

もちろん一概に「物」で表現しなくても相手への心遣いは色々とできるものです。相手に優しい言葉で接する、優しい眼差しで接する、席を譲るなど、物がなくても相手に少しでも喜んでもらうことができますよね。これはこれで素晴らしく、おそらくナンバー1。

そして目に見えて触れられるちょっとした物を通じてのやり取りも、遊び心が広がりお得な気がします。