第950回 「アクシデントとレジリエンス」

4月17日

4月も半ばを過ぎました。昨年の今頃は緊急事態宣言が出て自粛モードになり、仕事が壊滅的になったものです。今年は現在第4波の脅威が大阪中心に広がっていますが、高知では企業の対面研修も復活し、なんとか今年はやっていきたいと希望を持っています。

昨年は飛んでしまった大学の就職講座も、今年は復活しました。2日間の研修は感染状況に見合う対応ができるように1日目はオンラインで、2日目は対面での面接指導となりました。1日目が無事終了し、2日目の朝。もう一人の講師の方を朝 車で迎えに行き、大学の駐車場に着いて、靴をヒールに履き替えた時でした。

雨上がりの足下がすべって、靴を置こうとしていた不安定な体勢のまま倒れ、車のシフトレバーで左眼球を強打!事故って、起こるのは一瞬ですね。コンタクトをつけていたのですが思わず左目を覆い、控え室に着いてから恐る恐る手をはずすと、視界がぼやけています。

コンタクトが眼球の奥に入り込んでしまったのではと思い、鏡で見ますがよくわかりません。裸眼視力は0.01くらいでしょうか、コンタクトや眼鏡がないと通常の生活を送れないのです。主人に電話すると「今日の仕事、大丈夫?」と言いましたが、日曜日にまた全員のスケジュールを組み直すのは不可能。「大丈夫。」と言い、新しいコンタクトを持ってきてくれるように頼みました。

電話を切ると、すぐに講座開始です。学生の皆さんに一人ずつの自己PRを聞いて、履歴書と志望企業を照らし合わせ、アドバイスしていきます。聴いたことに対して瞬時に何をアドバイスするかの瞬発力と時間内に終えるタイムマネジメント、それに持久力も必要で神経を使います。しかも今年はコロナで時間短縮する必要があり、以前は3時間半かけてやっていたことを2時間で終える必要があります。

タイマーをかけて秒単位で時間管理しつつ、「マスクだと声が聞こえないよ」「この企業のこの職種には、こういった視点も必要」「その言葉は卒論にはいいけど、現場には向かない」などズバズバ指摘していきます。履歴書の小さな文字を確認するのも一苦労ですが、何より学生の皆さんの細かな表情が見えない…。

でもそこは今までの経験で、声の抑揚、姿勢、言葉のチョイスなど全体の雰囲気から大体わかるのです。うーん、無駄になってないなあ。今朝の事故も「このように人生、何が起こるかわかりません。時間のゆとりを持って、準備しましょうね♪」と無駄なく活用します。(笑)

今年は感染リスクが高いお昼の時間を挟まないよう12時開始なので、1セット終わっても次までの休憩時間は20分間。大学スタッフの方が診察してくれる病院をリサーチしてくださったのですが日曜で休診が多く、やっと大学病院で夜の予約が取れました。娘がコンタクトと一緒に眼鏡も持ってきてくれましたが、当然車の運転はできません。しかも帰りは夜になるので、迎えを介護や育児をしている家族には頼みづらく…。頼りになるスタッフの中村に連絡、それを終えたらすぐに次のセットの開始です。

こうしてなんとか無事に仕事を終えられ、心から安堵して病院に送ってもらいました。夜間診察になり先生には申し訳なかったのですが診察して頂け、心配していたコンタクトも眼球に貼り付いてはおらず、様子を見ましょうということで無事帰宅できました。

とても心配してくださっていた大学のスタッフの方にメールでお伝えすると、翌日担当ではない別の職員の方からもわざわざお電話を頂きました。学生さんからは「筒井先生は大丈夫でしょうか?お大事になさってください。できれば全体にアナウンスを」という優しい感想も頂けて、とても嬉しかったです。

思いがけないアクシデントが起きましたが、「にもかかわらず、頑張る」レジリエンスが発揮できたかなとふり返ります。心が折れることなく仕事が全うでき、自分を心配してくれる方々がたくさんいて支えられている幸せに 改めて気づかせて頂けました。ありがとうございました。