第952回 「追手前高校 伝説の地下池①」
4月30日
人は謎があれば、その解明に挑戦したい生き物なのかもしれません。
私がはるか昔 高校生だった頃、生徒指導の小松先生が
「この追手前高校には、地下に池があるらしい。僕は時計台より、断然そっちを見てみたい。ずっと光を拒んできた場所には、どんな生物がいるんだろう?」と目を輝かせて語っていたのを、昨日のことのように思い出します。
昭和6年(1931)90年前に建てられた、追手前高校の地下の伝説-。
「追手前高校は、地下湖の上に建てられている」
「地下にプールがあって、それで免震構造になっている」
「いや地下はお盆のように水が溜まっていて、校舎は船のように浮いている」…。
いくつもの伝説を聞き、長年 その謎の真実を知りたいと思い続けてきました。
校友会の先生方とお話しし校舎の写真を撮る内、貴重なこの記録を残さなければという思いが強くなりました。その一環として 地下の謎の解明を提案すると、ありがたいことにご協力頂けることに。
伝説だった「地下池に落ちた職員のSさん」が面識はないけど同級生だったとわかり、連絡を取ってみました。とても気さくな方でお話を伺う内に「案内しましょうか?」「ぜひ!」となり、校友会のO先生とご一緒に、思いがけず地下池の探検に出ることになりました。本当ならお声がけしたい方が何人もいたのですが、今はコロナで最小限の人数で行わなければいけない時。もったいないですが 今回は3人で探索を行うことになりました。
前夜、長靴やランタン、メジャーなどを準備していると、気分はもう探検に出かける少年のようにワクワク!年甲斐もなく、なんて幸せなことでしょうか(笑)。
探検当日。水温計を買ってなかったことに気づき、あわてて買って行きました。
午前9時過ぎに3人が合流し、地下入り口のある場所に直行。
2mほどの脚立を持って来て頂き、山のような重い荷物を移動させます。
お話を伺うとSさんは20年以上前、穴を塞いでいた板が腐って地下に落ちたのだとか。その後 今の鉄板で穴を塞いだ時ともう1回、計3回 地下池に行ったそうです。
「もう僕の後には、誰も入ってないと思う。」ということで、
今では地下池のことを一番よく知る、頼れる案内人なのです。
荷物の移動後、入り口を確認します。
大きな鉄板はいくつかに分割されていますが ものすごく重たいもので、扱った経験のあるSさんだからこそ、なんとか開けられました。本当に感謝です。
「ガシーーン!」と重低音が響き、真ん中の鉄板を持ち上げると…
穴がぽかっとあいて、顔をのぞかせました。
伝説の、歴史的瞬間です!
のぞき込んでみると…
伝説の通り、水が溜まっているのが見えました!
下までは、2mほどでしょうか…。
思ったほど深いわけではなさそうで、少しホッとします。
その後、隣の鉄板も持ち上げます。穴が大きくなりました。
そこに脚立を立て、無事に設置できました。
膝までの長靴に履き替えます。カメラ、携帯、照明、レーザー距離計、レコーダーなどをすべて持てるよう、丈夫な胸当て付きエプロンの大きなポケットにしまいます。
さあ、ゆっくりと 闇の世界へ下りて行きましょう!
地下には一体どんな空間が広がっているのでしょうか…?
次回に続きます。