第690回 「驚嘆!大塚国際美術館①」
4月1日
美術館としては、日本一高い入場料 3240円。しかも、展示されているすべての美術品は複製品(レプリカ)。それでも、「行ってよかった美術館&博物館ランキング2011」で堂々の第一位を獲得した大塚国際美術館。いったい、どんな所なの?って思いますよね。
徳島県鳴門市にある大塚国際美術館は、母体があのポカリスエットやボンカレーで有名な、大塚製薬です。先日、母の81歳の誕生日のお祝いに妹と3人でこちらを訪れました。2人は10年前に行っているのですが、私は初めて。
こちらが入口。拍子抜けするほど、こぢんまりとした感じです。なんでも、瀬戸内海国立公園内にあるため建築規制があり、山をくりぬいて地下3階の巨大な空間を作ってあるのですが、地上には2階建ての部分しか見えないのです。
そのため、国立新美術館に次ぐ日本第2位の広さ(延床面積29,412m²)にも関わらず、圧迫感はゼロ。でもネットで下調べをすると、見学の総延長が4kmにもなり、1日でも回りきれないほどだとか。
入ってすぐに長~いエスカレーターがあり、そこを上って行くと、地下3階に着きます。え、上って地下3階?と思われるでしょうが、入口が坂の途中のためです。この日は観光シーズンの土曜日だったので混むことが予想されたため、11時過ぎでしたがまずはランチに。
レストランは1階です。外壁補修工事のため、シートがかかっていて外が見えなかったのが残念。「うずしお海鮮丼」(1200円)を頂きました。
タイ、エビ、サーモン、イカ、イクラ…などが入っていて、なかなか美味でした。おつゆのワカメの量がハンパじゃない、さすがは産地。タイのアラもおいしかったです。
妹は3月までの企画展に合わせた期間限定のテーマランチ、「悪(ワル)のランチ」(1000円)。うーん、和食の方がこちらは得意なのかな?と感じました。
さて、地下3階に戻り、いよいよ探索開始です!
まず入ったのが正面にある「システィーナ礼拝堂」。いきなりの広大な空間に、圧倒されます。ぜひクリックしてご覧下さい。
こちらの美術館の売りは、「環境展示」。行動や生活を見せる旭山動物園の「行動展示」が有名ですね。こちらは環境ですから、古代遺跡や教会の壁画などを原寸大でまるごと再現してあるのです。そして、その材料はなんと「陶板」。つまり、すべて焼き物で本物と寸分違わず作られているのです。凄すぎる!
臨場感、圧倒感、とにかくその迫力に打たれます。私は本場バチカンのシスティーナ礼拝堂にはきっと死ぬまでご縁がないでしょうが、行った気に十分なれます。(笑)この天井画の一部分を展示してありました。
とにかく大きい。一見プロポーションが悪く感じられますが、天井に設置し15m下から見上げると、遠近法、短縮法、明暗法によって完璧なバランスに見えるそうです。(残念ながら、彼女が天井のどこにいるのかまったくわからずじまいでしたが…)
バチカンのシスティーナ礼拝堂は、ミケランジェロが1508年からわずか4年で描き上げたそうで、聖書の「天地創造」から始まる神と人類の壮大な物語が描かれています。ちなみにこの礼拝堂では結婚式もでき、女優の水野真紀さんもこちらで挙式なさったそうです。
しかし1998年の開館時には、この複雑な曲面で構成された天井と壁を結ぶ部分や微妙な反りを陶板で再現することは至難の業で、一部は再現できなかったそうです。
2008年の開館10周年にあたり、陶板を制作した大塚オーミ陶業株式会社は総力を挙げてミケランジェロの完全再構成を行い、ついに現在の姿に完成させたとか。なんだかもう、「プロジェクトX」の世界ですねぇ。
このように大塚国際美術館には、世界25カ国190以上の美術館が所蔵する1000点以上の名画が最新の技術によってすべて原寸大で忠実に再現されているのです。絵画は退色劣化しますが、陶板はそのままの色と形を2千年保てるとか。
だから、ここの美術館はロープもなく間近で鑑賞できるのです。それどころか、写真撮影もOK!みんな、パシャパシャ写真を撮っていました。(ただし作品のみの撮影や、ストロボや三脚の使用は禁止です)
その上、オリジナル作品の美術館なら絶対にできないことがもう一つ。
実は触るのもOK!なんです。
だから、デコボコした筆のタッチまでわかるんですよ。
入場料3千円オーバーも納得!さすがは日本の技術です。
次回も、大塚国際美術館についてお届けします。