第691回 「感嘆!大塚国際美術館②」

4月9日

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前回に続き、大塚国際美術館のご紹介です。(ぜひ、写真をクリックしてご覧下さい。)すべてオリジナル作品ではなく、レプリカばかりのこちらの優れた点は、世界中の名画のオンパレードである、ということです。美術の教科書で見た名画、来日した時に何時間も並んで人混みの間からわずかな時間しか見られなかった名画、現地ではめったに公開されない名画がゆったりと間近で鑑賞できる贅沢さ。

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レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」は、名画の代名詞のようなものですよね。1974 (昭和49)年に来日した時には、1点のみの単独展にも関わらず、東京国立博物館は入場者が1日3万1120人の新記録を作ったそうです。それがここでは、こんなにゆったり。

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ピカソの「ゲルニカ」の前を、ベビーカーがゆっくりと通り過ぎます。
非日常と日常の交錯です。

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ムンクの「叫び」の横でこのポーズをしても許されます。(笑)

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特筆すべきことは、絵画の修復前と修復後の絵画作品を一度に見比べることができるのです。レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」は、壁の左右に修復前と修復後が飾られ、その違いを確かめることができます。

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ビフォー。もう、このオリジナルは現存しませんので、非常に貴重です。

そもそもこの絵はミラノの修道院の食堂に描かれたそうで、台所の裏側の壁で湿気が高かったため作者が生きていた頃から破損が始まり、第二次大戦の空爆で無残な状態になっていたのだとか。

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アフター。確かにキリストや使徒の顔が元の姿を取り戻し、バックや色などもきれいになっています。でも、修復前の重々しさがどこか失われたのが惜しい気もします。

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モネの「大睡蓮」は屋外展示で、溢れる光の中にあります。強い陽ざしでも色褪せない陶板の性質が、十二分に活かされていますね。

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「裸のマハ」と「着衣のマハ」は隣同士に展示されていました。

その他、「真珠の耳飾りの少女」(フェルメール)、「ヴィーナスの誕生」(ボッティチェッリ)、「落ち穂拾い」(ミレー)…いやもう、名画の目白押しです。

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ゴッホの、幻の「ヒマワリ」もありました。第二次世界大戦で焼失し、二度と見ることができない通称「芦屋のヒマワリ」を、原寸大の陶板で再現したものです。背景の青が印象的ですね。失われた名画の陶板での復元は初めての試みだそうです。

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その他、大きな祭壇の豪華さと存在感には圧倒されっ放しでしたし、礼拝堂は前回のもの以外にも複数あります。

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この日この美術館だけで4時間半過ごし、なんと5kmも歩き、美術の宇宙に揺蕩う(たゆたう)ようでした。まだまだ紹介しきれないお宝が一杯で、本当に一見の価値があること請け合いです。

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あまりに素敵だったので、夏に家族を連れていく計画を立てています。実はまだ、見落としていたものがあったと判明したのです。恐るべし、大塚国際美術館!(笑)