第978回 「秋の夕暮れ」

10月30日

秋は本当に夕空が美しく、見とれてしまうことが多いですよね。そう言えば、枕草子にも「秋は夕暮れ」との一節がありました。千年も昔から、人間の感性って変わらないんだなあと思います。

毎年この時期にある土佐リハビリテーションカレッジの仕事帰りには、夕焼けの見事な光景に 魅了されます。西一面に田んぼが開けている景色なので、空がとても広く見えるんです。今ではこういう場所自体が、少なくなりましたよね。刻一刻と変わる色合いは美しく、見飽きません。でも、急いで帰らなくちゃ。

わずか5分ほど後の、橋の上からの景色です。ちょうど赤信号で停まったのですが 写真を撮りたかったので、信号に感謝でした。水面に夕焼け空が映って、えも言われぬ色合いです。

ところでなぜ、こんなにも秋の夕焼けは美しいのでしょうか?

春は花粉や黄砂など、ほこりが多いために夕焼けの光をさえぎり、空気が澄んでいないのだそうです。
夏は夕立など湿気や水蒸気が多く、それが光を反射させるようです。また、夜7時を過ぎないと日が落ちないので、夕空を見上げる時間がずれる場合が多いのかもしれません。
逆に冬は空気が澄みすぎていて、光がうまく空となじまないのだとか。

先日のある夕方、カーテン越しに外が黄色く染まっているのに驚き「何ごと?」と思いのぞきました。空だけでなく、まるで世界全体が黄色いフィルターにかけられたかのように染まっています。ところが不思議なことに、小雨も降っている上、虹も出ていました。「これは珍しい!」と思わずスマホを手に外へ。邪魔な電線を避けるために、急いで近くの土手に向かいました。

ちょうど前から、子供たちが仲良く傘を差して歩いてきました。なんだか黄砂の中を、虹が出て歩いているようなふしぎな光景です。(あ、残念!一眼レフを持ってくれば良かったかなぁ)と思いました。(笑)この写真に もしもタイトルを付けるなら、「黄色い世界の虹」という感じですよね。

ところがホームページに載せるため、写真ソフトで大きさを縮小し、カラー調整を「自動レベル補正」にかけると、こうなって驚きました。

同じ写真なのに、世界が一変します。面白いものだなと思いました。

ふと、これって報道に似ているなと思いました。データをどう処理するかによって、見え方がまったく違ってくる。事実をどう切り取って、どう注釈を付けるかによって内容が一変してしまう。最近の眞子さんのご結婚や衆議院選挙など一連のメディア報道をどう読み解くのか、私たちも意識する必要があるのかもしれません。