第979回 「ネットの功罪」

11月6日

先日のことです。ある仕事を依頼したいと、ネット検索でA社の電話番号を探しました。ところが「A社」の企業名を入れると、関連するキーワードが自動で追加表示される機能で「A社 倒産」と出たのです。えっ、倒産!?そんな、本当なの!?仕事ぶりに定評がある企業で他の選択肢は考えていなかったため、かなり動揺しました。

気を静めて、その検索ワードを調べましたが、具体的な情報は出ていません。これはデマなのでは?と思い、A社のホームページを開きました。調べてみると、ブログの最新記事は、9月でした。今は11月なので…うーん、微妙。もっと最近のものがあったら安心できるのに。かと言って知り合いの経営者に「A社、倒産ってキーワード検索が出たんだけど、何か知ってる?」と聞くのはブレーキがかかります。風評被害にもつながりかねませんから。

1973年(昭和48年)に電車内の女子学生同士の冗談から企業の誤った噂が広がり、取り付け騒ぎが発生した豊川信用金庫事件が頭をよぎります。まして今は、SNSの時代。下手にそういったワードを打ち込んでいけば、根も葉もないことが広がりかねません。

たとえば「○○社 ブラック企業」「××社 詐欺」などのワードをわざと打ち込み、その企業名で検索したときに関連ワードが出るように誘導したり、多くの人を扇動することがあるようです。また、似た名前の企業と勘違いされて叩かれた事例もありますし、間違った憶測が元で、攻撃を受ける場合もあるでしょう。こうしたことは、今やどの企業にも起こりえるリスクだと痛感しました。それで、まったく知らないうちに企業評価が地に落ちてしまう…。考えると、ゾッとしました。

検索して 関連ワードが出てくると、より目当てのものを探しやすくなったりするので、確かに便利です。でも悪質な関連ワードが出てくると、場合によっては会社が損害を受ける恐れもあるわけです。こういったリスクに対して、何か手立てはあるのでしょうか?

まず、悪質な関連ワードを速やかに削除依頼して、被害を最小限に食い止める必要があると思います。Yahooの場合、「問題となる検索結果に関する情報提供フォーム」がサイト上に用意されているようで、削除理由を作成し削除依頼をするようです。
Googleの場合、Googleのガイドラインに反している・違法なキーワードである・ページの所有者が削除リクエストを出した、という3つの基準をもとにして削除するようです。

しかし今では世界中の人々が、検索エンジンサービスを利用しています。個別の要望で関連キーワードを削除するような操作は、公平性の観点から認められないという姿勢があり、そう簡単ではないようです。こうしたことに疎い私は考えるだけでクラクラしてしまいますが、ネット炎上が拡散する前に、Webリスク防衛として個人・法人ともに対応するビジネスもあるようです。

結局私は、共に所属する組織の長からA社の社長をご紹介頂き、直接お会いすることにしました。とりあえず弊社は、愚直に週1回のコラム更新を続けていこうと思った出来事でした。