第980回 「長年、連れ添ってきましたが…」
11月12日 中村 覚
潮時です。時代も変わりました。もうそろそろサヨウナラ。最近 ちょくちょく不具合の出てきた携帯電話になんの未練がありましょう。
先日も電話が鳴るので、電話に出ると「これで、3回目だ。やっとつながった。」と相手から言われ、「えっ? 全然着信なかったのに。」 携帯が悪い。
電池の消耗が速い。バッテリーが悪い。
写真を撮っても画質が悪い。 無理もない。
見て下さい。携帯画面の左上にある太陽の黒点のような黒い丸。ずっと前から消えません。数年前の夏の盛り、うっかり車のダッシュボードの上に携帯を置いたまま、友人と店に入って食事をしていました。お腹いっぱいになって車に戻ると、直射日光をレンズ一杯に浴びて、一点集中でしょうか? 自分自身で画面を焼いていました。小学生の頃、マジックで塗りつぶした黒い点を虫めがねで焼いたことはありましたが、真似しないでほしかったです。
友人に話すと「携帯をそんな所に置いた、お前が悪い。」と言うのです。「いやいや これで2回目。前もこんなになったけど勝手に直ったし。今度も直るって。」 ところが約束が違う。昭和の時代なら言われますよね。「根性が足りない。」
作家 遠藤周作さんのキリスト教についてのCDを聴き、これまでなんの関心もなかった「ミサ」というもの、とりわけ「夜のミサ」に興味が湧きました。よくわかりませんでしたが「夜のミサ」という言葉の響きに聖なるものを感じたのです。自分のこの新しい感覚?がつい嬉しく、柄にもなく実はミサにちょっと興味が出て~、と友人に携帯でメールをしました。
慣れない単語を使うだけでも小っ恥ずかしく、生まれて初めて「みさ」と打ちカタカナ変換すると、いきなり出してきたのが「ミサイル」でした。
バカ過ぎる。 こんなヤツを日頃からどこに行く時にも連れまわっているかと思うとアホ過ぎる。 あのね 俺がお前(携帯)の親なら言う。「日頃から付き合う相手を選びなさい。」
ある日のことです。 今、22時23分? 携帯の表示画面で確認。ところが太陽は昇り空は青く、間違っても今は朝。ほら、置時計は8時15分ですよ。どうも昨夜からディスプレイが止まり固まっていたようです。緊張してるのかな? 今日はお偉いさんの前でプレゼンですか?
どのボタンを押しても、何の反応もないので一旦 電源を切ります。数秒寝かせた後、電源を入れ直すと正常に元通り。その日の晩です。また妙な時間表示のままフリーズ。おかしい、ついさっき電話としては普通に使えたのに。また電源を切ってやります。再び立ち上げたら、今度は時間表示どころか日時が「 1970年3月31日 」となり、「え…? 昔?」 これには ちょっと笑えて~(笑)
「お前(携帯)、生まれてないろ? 1970年言うたら、電電公社からまだ電話の権利を何万円かで買っていた時代やろ? 俺よりも年上気取りか?」
また電源を切ります。直りました。不思議にそれからというもの、ずっと調子良いです。
多少の不具合には目をつむってやるから、もうちょっと笑わせてよ。面白いの頼むわ。 もう手の内、全部見せたって? えぇ~ つまらん。 それやったらホントに買い換えるで。