第995回 「なんて読むの?」
3月4日 中村 覚
「ダイニンキナイ」、これ なんのことか おわかりでしょうか。多分、私にしかわからないと思います。私の間違い。私の凡ミスなので。(笑)
本を読んでいる時のことです。人から支持されることの意味合いについて書かれている箇所があり、それはある時期 メディアへの露出を頻繁にして、時の人となる人物のことであったり、多くの消費者から支持されるヒット商品のことであったり…。多くの人から支持されるということは、つまり人気があるということ。人気が人気を読んで大人気。~で、このように多くの人から人気を得るためには大人気ないことはなるべくしない方がいい。そんな内容だったと記憶しています。
この時です。「大人気ない」を「ダイニンキナイ」とさらりと読んだのです。なぜならこの前段には人気、人気、大人気という言葉が何回も出ていたので、もう頭はその流れに乗っています。 ところが さすがに「ダイニンキナイ」と読んだものの「ナニ? これ?」とは思うんですね、一応。
・大人気
・大人気ない
送り仮名が違うだけでえらく違います。こういうミスに行き当たると、今まで何度となく聞いたことのある 外国の方が「日本語は難しい」という、あれは相当なものだろうと。日本の言葉は、引っかけ問題、まるで落とし穴だ。そんな感じではないかと。(笑)
もう一つ、こういうのはいかがでしょう?
・大人の分別
・ゴミの分別。
同じ字を書くのに、読み方が違い、意味はもっと違う。ちなみにパソコンで「ゴミのふんべつ」と書いても「ゴミの分別」と変換します。本当はあんまりわかっていないのに、わかったふりをしているのでしょう。(笑)
物でも人でもイメージだけが一人歩きすることがあります。てっきり〇〇だと思っていたのが、ある時 全く違う側面を見ることで イメージがコロッと変わってしまう。こういったことが「字」についても言えるのではないかと思います。
「論」
この字を見て、どんな言葉を思い浮かべますか?議論、正論、討論…。色々ありますが、私の場合 浮かんでくるのは論語の「論」というイメージです。じゃあ そんなに論語が好きなのか?と聞かれれば もちろんそういうことではありません。遠い昔、国語の時間に刷り込まれたのが原因かと。
こういうイメージなので、「論」という字はどこか王道で、マイナスかプラス、どちらを連想する字かと言えば、私の中ではもちろんプラスの字でした。ところが、訓読みをすると「論う=あげつらう」。これにはドキッとさせられたのです。そりゃ ないでしょうよ。
お互い言いたいことを言い合って「議論」するも良し。「討論」することだって大事でしょう。「正論」となると、えこ贔屓(ひいき)のない王道の精神。それなのに、人の古傷を根掘り葉掘りいじくり回し責め立てるような「あげつらう」。こんな字とはわたくし思ってもいませんでしたの。(笑)
漢字で遊んでみました。これって、やっぱり机上の空論でしょうか。