第997回 「コロナ禍の学生生活」

3月19日

月曜日 追手前高校に行くと「今週は文化祭の予定なんです」と生徒達が忙しく、でも楽しそうに準備していました。心の底から、(良かったなぁ)と思えました。

コロナ社会になって、足かけ3年。文化祭も遠足もことごとく中止で、高知県内のほとんどの高校が修学旅行も行けず、延期してもまた中止だったとか。人生の中でも高校生活の3年間って友達との関係を深めたり、濃密で特別な期間だと思います。生徒達の落胆はどんなに大きかったことでしょうか。

高校に入学したときからマスクで、同級生の素顔を知らない世代。休み時間も話しづらいし、給食は黙食で雑談もできない。行事は次々と中止で部活動も制約だらけ、友達と集まるのもダメと何もかも自粛だし、教室は窓を開け放つからエアコンが使えず、暑くて、寒い。そうした中での、3月の文化祭です。生徒達にとってはどんなにか、心弾む想い出となることでしょう。

それにしても、マスクをはずさないまま 高校生活が終わってしまう学年も出てくるのでしょうか。卒業アルバムで初めて、「あの人、こんな顔してたのか~」なんてことになるの?いやいや 卒業してからの同窓会でも、クラスメートの顔がわからず「誰?」なんてなって、手で口元を隠して初めて「おー!筒井か!」なんてことになるのかもしれません。(笑)

そもそもマスクして出会うから、誰かのことを(良いな)と思い好きになっても、素顔がわからないって かなり恋愛成就のハードル、高くなりそうですよね。もし告白されても「相手の顔を知らないので、返事ができない」なんて悩みも実際あるらしいです。まあ、表面に惑わされにくい、とも言えるかもしれませんが。

美人だとか、イケメン!と思ってたのにマスクを取るとさほどではない「マスク美人」「マスクイケメン」だと、「マスク詐欺」なんて呼ばれてしまうことがあると聞いてビックリ!だからマスクをはずしたとき、相手にガッカリされるのが怖いということで、デートの時に飲食はしない人もいるとか。「顔出しのオンライン授業で初めて本当の顔を知った」なんてこともあり、マスクを取りたくない人が急増しているのに、私も少し困っています。

大学でもオンライン講義で表情などの重要性を体感してもらうため、ペアに分けて「マスクを取ってワークをやってください」と何度も指示したのにはずさない人が何人かいた話を書きましたが、感染が収まっても「マスクをはずしたくない」人が増えているようです。これは日本人特有の現象のようで、欧米では「マスクを着けない権利」が声高に主張されているのをご存じでしょう。文化や思想って、これほど違うんですね。

人間にとっての「顔認識」って本当に大事で、脳はそのために特化されているほど。新たな課題にどう対応したら良いのか、私も今、勉強中です。