第1001回 「名前の効果」
4月16日
4月。新年度が始まり、様々なものが新しく変わるとき。この春、次女も職場復帰するにあたり、1歳半を過ぎた彼女の長男も保育園デビューしました。
実は どうも「孫」という言葉をこのコラムで使うのは、しっくり来ないのです。こちらから見ての「孫」という立場ではなく、彼自身を見ていると小さくてもちゃんと主張があり、「小さいひと」「小さな彼」みたいな感覚があるからです。
同様に「おばあちゃん」と呼ばれるのも、まだしっくり来ません。イタリア語でのおばあちゃんを意味する「ノンナ」という言葉を次女に提案したのですが、スルーされちゃいました。せっかくイタリアに短期留学させたのに。(笑)
私が名前や呼び方にこだわるのには、理由があります。
本名って、基本的に自分で選んでいませんよね。私の場合「北岡典子」として20数年育ち、その後 倍の時間を「筒井典子」として生きてきました。55歳で東京・大阪でビジネス心理学の学びを始めたとき「好きなニックネームを付けて下さい」と言われ、NLPを学びたいと思うきっかけになった「メンタリスト」というアメリカのドラマの主人公、パトリック・ジェーンから 女性でも通用する「ジェーン」という名前をもらい、名乗るようになりました。
自己紹介でその経緯から話すと、ある講座で休み時間に「ジェーンさん、私もメンタリスト見てますよ」と話しかけてきてくれたのが、後にLABプロファイルの講師仲間になったヒロさんでした。意気投合し、数年セミナーを通じて交流を続け、コロナ前は何度も高知に来てくれるような親友になりました。名前がきっかけで、そうなれたのです。
5年ほどそのセミナーでは様々なことを学びましたが、その場での私はとても自由で明るく積極的でした。環境と仲間がそうさせてくれたのですが、そういう状態の時に「ジェーンさん」と呼ばれ、自分の好きな自分でいられるのがとても心地よい経験でした。
NLPで、アンカリングという用語があります。自分の感情を調子のいい時の感覚に戻したり、何か新しい習慣をつけるために使われたりする手法で、簡単に言うと「条件付け」です。私の場合、5年ほどにわたって自分の好きな自分でいられた時に「ジェーンさん」とくり返しみんなから呼ばれたため、今も「ジェーンさん」と呼ばれると、いつもよりも明るく積極的な自分になれる気がするし、実際そうだと思います。
以前、高知で主宰したLABプロファイルの講座でも、同じことをやってみました。受講なさる皆さんに呼ばれたいニックネームを付けてもらい、6回の講座をそれで呼び合っってもらったのです。それもあってか お互いに親近感が高まり、講座修了後の打ち上げ会のお別れでは、10人ほどがハグし合って別れを惜しんでいたのを、今も鮮明に覚えています。高知でそんな講座は、私は初めてでした。
昨日も新人研修会でしたが、ある受講生の方にちょっと変わったニックネームの由来を尋ねると、その瞬間 彼の表情がパッと輝きました。とても嬉しそうに語ってくれ、見ていてこちらも嬉しくなったものです。
名前とはまさにその人自身で、アイデンティティ=自分らしさだと思います。だからこそ大切にしたいし、自分でこだわった呼び方を選びたいなぁと思うのです。