第1004回 「87歳だから」
5月7日
87歳になった母が訴えます。
「しょっちゅうケータイに、データ容量が不足していると言われる。どうしたらいい?」
見ると、確かに容量が一杯。調べるともう5年前の物なので、母の日のプレゼントに新しいのを購入することに。私の家族割りにすると安くなるため、ショップに出かけて申し込みすると、店員さんが次回持参する物を「保険証、公共料金の領収証、銀行のキャッシュカード…」とメモしてくれました。公共料金の領収書がハードル高そうだなと思ったので、あらかじめ探しておくように言って確認すると「あった」とのことで、一安心。
予約していた、子どもの日。孫のお祝いでもなく、結婚記念日でもあるんだけど、母のために朝10時前にショップへ。準備していた書類を順次、並べていきます。一通り説明を受けた後、「では、公共料金の領収書を」と言われて母が出したのが、ガス警報器の明細書かなんか。役に立たない。…まあ、87歳だから、仕方ない。(笑)
キャッシュカードの暗証番号を入れる場面では、母の書いた番号を間違いないように私が入力します。エラー。「あれ?これだったかな?」またエラー。3回エラーが続くとロックがかかり、使えなくなってしまうという説明に焦る母。そして、無情にも3回目のエラー。見かねて助け船を出します。
「普段、通帳を使ってるのよね?」に母は、
「ううん、キャッシュカード!」
店員さんとズッコケました。(笑)
「いつも使ってるのに、なんで…」と落ち込む母に
「まあ、そういうこともあるよ。」と慰めます。
私も、色々とよく忘れるので。
で、公共料金の領収書と、通帳と印鑑を取って来ようということになり、ちょうどお昼前だったので、午後2時からの予約を取って、母を家まで送ります。
「もうカードはいらないから、ガスとか水道の領収書と、通帳と印鑑を準備してね」
「印鑑、どれだったろう…」と不安げな母。
お昼ご飯のあと確認の電話をすると、「水道の領収書、あった。印鑑も見つかった」
とのことで、一安心。午後1時半、母を迎えに行きました。今度はOKでしょう!
ところが、思わぬ伏兵が。なんと出したのは、父の名義の通帳!
また店員さんとズッコケます。いや、名前違うし!しかも父、20年以上前に亡くなってるし。店の人も見かねて、「ではご本人さんの通帳と、念のためにもう一度カードを持って来て頂けますか?」「わかりました、すみません。」
というわけで、また店を出て、母の家へ。実家へは行き止まりでクランクが続く細い道なので、近くの広い場所に車を止めて、そこで待つのです。
母に「通帳とカードね」と念を押して、行かせます。15分ほどして戻って通帳を見せるので、「それはいいけど、カードは?」「カードもいるの?」
おいおい、もう何度目なの?イラッとしますが、仕方ない。87歳だから。
また待ちます。こんなこともあろうかと持参した原稿を直し、時間を有効活用。
しかし30分経っても戻りません。ケータイに電話すると隣の座席で鳴り、「コントか!」と思わず突っ込みを入れました。(笑)家に電話すると
「カードが、どうしてもない」
「もう、なかったらいいから」と戻って来させて、再び店へ。
今度は自分の通帳と印鑑だったので、やっとうまく行きました。でもデータ移行で時間がかかり、結局店を出たのは午後4時20分くらい。まさか一日仕事になるとは。(泣)
疲れたけど、ショップになかったスマホケースも買いに行かねばなりません。
駅前の某電気店に行くと、幸い何種類かあったので購入。やれやれ。
家に戻ったのは5時過ぎで、疲れ切った一日でした。
母はしきりと「カードがなかったらどうしよう」と言っていましたが、「家の中にはあるから大丈夫!」と、私はもう半ば人ごとです。(笑)
そしてやはり、ちゃ~んと翌日見つかり、暗証番号も思い出したのでした。
いつも通りです。
こういう問題が起きると、すわ、認知症か!?となりがちですが、まあ日頃はちゃんとカードで降ろして問題なくやってるわけですし、心配しすぎると手を出しすぎて、母の自立心を奪ってしまうことになりかねません。自分でもちゃんとできる、というプライドが生きる力でもあるので、今後もズッコケつつ ゆる~く見守っていこうと思うのでした。(笑)