第694回 「言葉は、自由自在」
4月30日 (中村 覚)
唐突ですが、動物の「カンガルー」の語源をご存知でしょうか。昔、オーストラリアにたどり着いた探検隊が、2本の足で飛び跳ねて歩く 変な生き物を初めて見た時、現地の人に「あれは なんだ?」と尋ねます。すると「カンガルー」と言われ「そうか、あれはカンガルーという動物か」と。でも実はカンガルーというのは現地の言葉で「わからない」という意味だったとか。
中学生の時に教科書でこの話を知り、「人間はもっとお利口さんかと。…しかし 間違いが間違いじゃなくなるんだな」とけっこう衝撃的でした。ところが、これをコラムに書こうと調べて もっと衝撃的なことが判明。このカンガルーの話、実は誰かが考えたフィクションだったらしいのです。えぇ~ 話として面白いし、これが事実でいいのに。
ちなみに、「カンガルー」の語源は現地語のgangurruで 意味は「跳ぶもの」だそうです。ちゃんと当たってます。 中学校の時の教科書に だまされ続けて25年余りの時間経過…、 なんて ことでしょう(笑)
今度は間違ってはいたけれど、ちょっと 惜しい(?)話です。
学生の頃に、付き合い程度で友人とスポーツ店に行った時のことです。大していや全然スポーツに興味のない私は、連れが楽しく品定めをしている間、ただただ暇でした。仕方ないので陳列された商品を見るともなく見ていた時のことです。
ニケ…? 「これ ニケと読むの?」とシュピンッと刀傷のようなロゴの入った商品を指して聞きました。友人は驚いて、「ウソやろっ!!」の一言。
皆さん ご存知 「ナイキ」 と読むのですが、「あぁ そぅ、 まっ ナイキもニケも(自分にすれば)一緒やけどね。」
それから10年程経った頃です。 コンビニエンスストアでたまたま見かけて、買ったのがこの本。
「天使」と「悪魔」がよくわかる本。
皆さん、天使といえば、背中の翼がイメージとしてしっかりあると思います。しかし もともと聖書には天使の姿形についての描写は、ほとんどなかったようです。有翼の姿が人々に広まるのは4世紀以降とのこと。この時にモデルにされたのが、ギリシャの女神「ニケ」。ローマ名はウィクトリア、英語ではヴィクトリア。 勝利の女神です!
そしてスポーツメーカーの「ナイキ」は「ニケ」の英語読みで、会社のロゴは翼がモチーフということが書いてありました。学生の時に知らずに「ニケ」と読みましたが、あながち間違っていなかったのかな と。(笑)
最後に。
皆さん、「Michael」 これを何とお読みになりますか。
最近 知ったことなんですが、この「Michael」は 英語読みすればマイケル、ヘブライ語読みすれば ミカエルだそうです。私にすれば、「うーん、まぎらわしい。」(笑)
マイケルと読めば、「フォッー!」と独特なダンスで奇声を発する マイケル・ジャクソンが頭に浮かび、ミカエルと読めば、大天使ミカエル、教会の大聖堂や聖書が浮かぶかもしれません。
最初に活字を見て、次に読んで、そしてイメージする。 視覚 → 聴覚 → イメージ。でもそれらはちょっとしたきっかけで、大きく変わるんですね。言葉とイメージって、ホントに面白いなとつくづく感じます。