第1014回 「大好きな夏の原風景」

7月15日

先日、高知県内を移動中に素敵な風景に出くわし、思わず車を止めました。

夏らしく、まぶしいほどの川の光のきらめきの中…

地元の子供たちがみんなで、歓声を上げながら川遊びをしていたのです。
小学生から中学生くらいの15人ほどがあちこちで泳いでいます。

その姿は、半世紀前の私が子供だった頃となんら変わっていません。
懐かしさを覚え、思わず見入って写真を撮りました。

こちらでは年長らしいグループが、橋の上から飛び込んでいます。
下で泳いでいる友達が「〇〇~、早く来いよ!」と呼んでいます。

私が飛び込む瞬間を撮ろうと構えていると「早く。待ちゆうやんか(待っているじゃないか)」と声をかけていました。いやいや、せかさなくても~(笑)ありがとう。

橋の高さは3m以上あるでしょう。ちょっと躊躇しつつ、意を決して飛び込む少年。
ふわりっと体が浮いた数秒後、ドボン!と派手な水しぶきが上がり、下で泳いでいる友達はキャアキャア笑います。昭和と同じ、夏の原風景とも言える景色です。

夏と言えば私も小学生の頃から、毎年足摺の海で泳ぐことが最大の楽しみでした。
知り合いのおじさんがホームステイさせてくれ、おじさんと足摺の幼なじみと近所のお兄さんと一緒に、水族館のように美しかった海で泳いだものです。

顔面を付け、海中を探す。
息を吸って潜る。
ニナ(巻き貝)を、岩からはずす。
キラキラと輝く水面に向かって泳ぐ。
浮上して「はー!」と息を大きく吸う。

それの繰り返しだけですが、なんて楽しかったことでしょう!
今にして思えば、かけがえのない贅沢な時間だったと思います。
泳ぐ子供たちを見て、私も追体験していました。

ふと我に返って思います。
令和の今、こうして近所のきれいな川で毎日遊べることの幸せ。なんて豊かなのでしょう。いくらVRが発達しても、本物には勝てません。

コロナ禍も第7波で感染者数が最多更新と騒がれる中、感染者数が一桁以下だからこその、のどかな地の利です。そして異年齢の集団で遊び、ルールやマナーを教えられ、コミュニケーション力も自然に高まる。なんて素晴らしい環境なのでしょう。

「気持ちよさそうやね。ありがとう」と帰り際 お礼を言うと、
「ありがとう~」と人なつこい笑顔を見せてくれた少年少女たち。

この子たちもきっと大人になって、この川での昔ながらの豊かな体験を懐かしく思い出すことでしょう。その時代にも、今の美しい川であってほしいと切に願います。