HOMEへ戻る 研究所案内研修プログラム実 績セミナー情報お問合せ
|WEEKLY “N”|T医師のひとりごとすずかの気ままにDO!
 
ウィークリーN
第100回●2004年10月10日(日)

「生まれてきてくれて、ありがとう」


 ひょうきん長女と私

早いもので、この「WEEKLY N」も今回で100回を迎えます。

そこで今回はその記念に、私にとってはとっておきのお話を…。

 みなさんご存じの通り、私の長女は障害児です。
長女が生まれてから、「人間にとって、何が一番大切なことか」という、非常に根元的な問いを幾度となく考えるようになりました。

 声も立てずに重度仮死で生まれてきて、半日もの間会えなくて、生きているのか死んでいるのか不明だったとき。
1歳前、医師に障害があることを告げられ、目の前がまっ白になった日。
3歳の頃、座位保持椅子ごと玄関から落ちて額を切り、血だらけになったとき。
7歳の頃、てんかんの発作が長時間続き、後遺症が残るかもしれないとおびえたとき。

 なぜか衝撃的な局面が多いのは、究極の場面でないと、そういうことを考えられない私の愚かさなのでしょう。日頃は それはあまりにも根元的な問題で、つい忙しい日常の中で、その答えを見失いがちになってもいます。

 長女が小学校3年生の時のことです。学校から帰り、畳の上でリラックスして私と何気なく話をしている時に、ふいにこう言いました。

「ママ」
「なに?」
「…生まれてきて、良かった」
 
  あまりに思いがけない言葉に、私は絶句してしまいました。
長女の言葉は淡々としていて、まるで今晩のおかずをリクエストしている時のようです。
子供ながら、決して平坦ではなかった彼女の今までの人生を、そんな一言で言い切ってくれたこと。 そしてそのありがたさに、不意に涙がふくれあがってきて、こらえるのに必死でした。

「…こんなママで、良かった。」 穏やかに微笑む娘。
そんなこと言ってもらえるほど、立派な母親じゃないのに…。
 素直じゃない私は照れてしまい、なんとか話を日常に戻そうとしました。
「…学校で、何かそんな話したの?」「ううん。自分で考えた」
さすがに素直じゃない私も、ついに降参してしまいました。

「ありがとう。」私は思わず、照れを忘れて心からそう答えました。
「ママのところへ生まれてきてくれて、本当にありがとう。」

 なんて素晴らしい宝物を、私は神様からゆだねられたのだろう。

  そして同時に、こう願わずにはいられませんでした。
(どうかこの子が大人になってからも、「生まれてきて、良かった」と笑顔で答えられますように…)と。

 ―それからもう、9年。長女は18歳になりました。今のところ、毎日笑顔で過ごしている彼女は生きる喜びに溢れています。
  ただ、障害者の場合は、学校を卒業してからが正念場。これから色々と悩ましいことも沢山出てくるでしょう。しかし、親子共々、「負けないぞ!!」と改めて心に誓いました。


   
 
ご意見・ご感想お寄せください!
 
 
ページの先頭に戻る
人材育成研修・各種セミナー承ります。
Copyright(c)2002 人・みらい研究所 All rights reserverd.