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第122回●2005年3月20日(日)

 足跡18 「作文するということ」




 長女が小学4年生の時、当時の国語担当のS先生が、とても 熱心に作文指導してくださった。お陰で長女の作文能力は飛躍的に向上した。 
 
  それまでの長女の作文は、「私はいつ、どこへ行きました。何をしました。楽しかったです。」というかなり低いレベルだった。もっとも字の読み書きができないので、文章を推敲するには話す・聞くだけで相当のハンディもあるのだが。
 

 S先生は「ただ楽しかった、だけじゃなく、どうして楽しかったのか、それをきちんと書いてごらん」という指導をしてくださった。そして、だんだんと長い文章にもトライするようになった。彼女が言った文章を、先生はワープロで打って1冊のファイルにまとめてくださっていた。1年間で30ほど作っただろうか。
 まあ、 長女もかなりユニークな感性の持ち主だったと思う。当時の作文の中の一つ。

「おとうさんへひとこと」
 わたしのお父さんは、わたしのことを「おたぬきさま」とよびます。
わたしはべつめい「かわいいうさこちゃん」とよんでほしいです。
けど、おとうさんはやっぱり「おたぬきさま」とよびます。
どうしてわたしがおたぬきさまってよばれるかしりたいです。
これからは、かわいいうさこちゃんとよんでほしいです。
もしそうじゃなかったら、おしりペンペンか ずつきをします。
それでもやめんかったら、Sせんせいにおこってもらいます。
これからはかわいいうさこちゃんとよんでね。

                                      
 「思ったことが書けて楽しい」と長女は言っていたけど、そりゃこれだけ勝手な言い分を書けば満足でしょう。(当時彼女は泣き虫だったので、家で「泣いたらおたぬきさまって呼ぶで」と言われ、実際そう呼ばれていたのだった。)

 5年生では高知新聞のこども記者にも採用され、何回かこども高知新聞に記事を載せて頂いた。また、高知県のこども詩集「やまもも」にも投稿するなど、「そりゃ無謀だろう」と思うチャレンジもした。当然、「やまもも」はその年には落選したが、翌年6年生で奇跡的に入選。
やまもも第23集「気分はにんじゃ」に掲載して頂いた。

「いもうと」 県立高知若草養護学校小6年 筒井涼歌

ゆりかちゃんはまいにちしゅくだいがあって たいへんだとおもう
わたしはしゅくだいがなくて ゆっくりできる
ゆりかちゃんはまいにちあるいてがっこうにいっているので たいへんだとおもう
わたしは ばすでがっこうにいくのでらく
ゆりかちゃんはみずやりやきんぎょのえさやりがあって たいへんだとおもう
わたしはごはんのじゅんびを おかあさんといっしょにしたい

ゆりかちゃんはいつもともだちと ルンルンでいけていいなあ
ゆりかちゃんはピアノがひけていいなあ もっともっとひけたらいいなあ
わたしはおじゃみきょうしつがあったらいいなあ なげたりあそんだりしたい
くるまいすはしんどいけどいい
おかあさんのおりょうりをみれていい

ゆりかちゃんがおなすがすきになったらいいなあ
きらいなものがなくなるといいなあ

 現在、彼女は「すずかの気ままにDO!」でコラムを書いているが、その基礎はこの頃に作って頂いたのだ。書くことをしゃべり、代書してもらうというやり方は今も変わらない。高校では自分でひらがなのキーボードを叩く練習もしていたが、指が異常に柔らかくぐにゃりと曲がってキーを押す動作がうまくいかないため、今はまた口実筆記だ。決して彼女の文章は上手ではないが、書くことを楽しめたらそれでいいと思っている。

 何より今は、コラムを通じてこうしてみなさんとつながっていることが彼女の喜びなのだ。「今度のコラム、こうだね!」というメールをいただける喜び。インターネットという、もう一つの社会に入れて頂けたことは本当に幸せだと思っているし、いい時代で良かったなぁと感謝している。
みなさま、いつも応援ありがとうございます。

 

   
 
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