それは、付き添いについて、です。肢体不自由の重度障害の場合、生徒1人に対し大人2人が介助に必要です。この介助にあたるのは先生…と思われるでしょうが、それだけではありません。親や大学生のボランティアさんもあたるのです。
普通校の場合は、担任の先生が全員添乗なさるでしょうが、長女の学校では違いました。例えば6人の生徒が行く場合、クラス担任の先生は6人ですが、6人全員が行けるわけではありません。なんでも、生徒○人に対して先生は●人、とかの割合が決まっているそうで、たとえばクラスの先生3人に管理職の先生と養護の先生で5人、というふうになります。
しかし、通常は1人につき2人であたっている介護ですからとても手が足りず、ボランティアさんや親が介助につきます。最初にこれを聞いた時には、とても変な感じがしました。「どうせボランティアを頼むのなら、なぜ残られる担任の先生ではいけないのか?」と。…それに対する答えは「ついて行ける担任の数は決められているから」でした。でも、やはりこれ、なんかおかしいと思います。
たとえば2名の付き添いで、1名は親、もう1名はボランティアさんが行く場合は、親が食事介助などその場で「こうして欲しい」と指示できるのでまだしも、2名とも付き添いをボランティアさんにお願いする場合もあります。だいたいボランティアさんとは、それまで交流はなく、どうやって子供達の食事介助をするかとかトイレ介助をするかも、まったく知らなかったのです。
今から6年前の小学部の時、行く数ヶ月前にこの修学旅行のシステムを初めて聞かされて仰天し、「そんなことで大丈夫なのか?」と不安に感じました。「せめて事前に、ボランティアさんに1回は学校に来てもらい、子供達の様子を見て交流してほしい」という希望はかない、それから事前交流が組み込まれました。
もっとも、利点もあります。知らない人達と積極的にコミュニケーションをとるには格好の機会です。親や先生と違い、口に出して頼まないとわかってもらえないのですから、ついつい甘えてきちんと話さない長女などにはうってつけでした。特に年齢が近い同性の大学生との交流を、子供達は本当に喜んでいました。
でもねえ、やはり修学旅行の出発式に柱の陰から見送る担任の先生達を見るのは複雑でした。本当なら、この上ない子供の成長の機会を、誰よりも一緒に共に分かち合いたいのは先生なのですから…。