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ウィークリーN

第144回●2005年8月14日(日)

   「宿毛駅衝突事故・その後」


 日航機墜落事故から20年。日航系機でまたその日に事故があり、改めて事故と安全性について、各メディアが取り上げている。
 …もうすっかり人々の記憶からは消えているかもしれないが、4月のJR福知山線脱線事故の前に、高知のくろしお鉄道宿毛線でも衝突死亡事故があった。

 今年の3月2日、宿毛駅で特急列車が車止めを超え駅舎を突き破り、運転士1人が死亡した事故だ。不運だったのは、ここが終着駅だったことだ。中間駅なら「ウッカリ通過」ということになったのだろうに。
 左は事故前の構内である。私も出張でよく使い、その1週間後にも仕事で訪れた。
 その時写した写真。一番上の写真の、駅左側にあった波の形の部分にエレベーターと階段があったが、潰されて跡形もなくなっていた。
 崩落の危険性があるということで、撤去は慎重に進められていたが、その無惨な姿には胸が痛んだ。
 現在の宿毛駅。波の部分は撤去されている。JR四国は事故後、管内の終端駅と 行き止まりのホームがある駅の自動列車停止装置(ATS)の整備を進めることを決めた。

 
 くろしお鉄道宿毛線は平成9年、数十年来の地元の念願がかなって中村線から延長された。ところが中村線は平成15年、大雨による土砂崩れにより不通、その後も長期間そこでは徐行運転を余儀なくされた。ようやく完全復旧したところに、今度は前代未聞の大事故である。不運としか言いようがない。
 宿毛線は6月、全面運休していた特急列車運行を、事故から103日ぶりに再開した。宿毛駅の1つ手前の「東宿毛駅」発着だが、ダイヤは事故前の普通14往復、特急5往復に戻った。
 東宿毛はご覧のように小さな駅で、これまで特急の通過駅だった。
 ホームは列車2両分の長さしかないため、特急列車の3両目以降はドアをロックし、乗客は1、2両目から乗り降りしている。
  当然、駐車場もタクシー乗り場もない。しかし高架下には、臨時の駐輪場が設けられており、近くにタクシーが1台停まって客待ちをしていた。沿線の人々にとっては、宿毛線はなくてはならぬ足なのだ。
 こうして宿毛線はあえぎながらも、必死で立ち直ろうとしている。このお盆の時期、宿毛線で帰省した方も多いはずだ。地方の切り捨ての時代、今廃止になれば、もう二度とこのレールに列車は走ることはないだろう。なんとか、頑張って欲しい。

 大事故は、必ず起こる。ヒューマンエラーや機械の不調、思いがけない不運で。 そうした時でも、どのくらい被害を食い止められるかが重要なのだ。輸送機関は、かけがえのない命を運んでいるのだから。あたりまえのことだが、改めて強くそう思った。
 
 
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