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ウィークリーN

第146回●2005年8月26日(金)

  足跡31 「普通学校教育と養護学校教育」



 我が家では12年間、肢体不自由養護学校に通った長女と普通校に通って10年目の次女がいる。この2つの教育の違いについて、今回は記してみたい。

 先月、人権教育の会の席上で私は「養護」という言葉が、差別用語として使われているという事実を初めて知り、非常に驚いた。たとえば
「こんなこともできんのか、おまえはヨウゴか」のように使われるらしい。しかし、不思議に怒りや悔しさは全く生まれてこなかった。

 なぜなら私は、養護学校教育というものを教員免許を持つ保護者の立場から経験して、普通校の教育と比較してみても、むしろ教育の現状においては優れている面が多いように感じられたからだ。長女が養護教育課程を受けたことに対し、まったく引け目を感じたことはない。逆に、誇りに思っているのだ。プライド=自信があるから、何を言われても平気、と言うところだろうか。

 養護学校では、「個別指導計画書」というものがある。子供によって障害の状態も様々なので、この1年間、子供のどういう部分を、どのように伸ばすのかを書いた具体的な指導計画書である。以前は非公開だったが、今年度から保護者にも公開され、一緒に子供のための向上を目指す方向作りができるようになったらしい。いいなあ。

 現在どのようなシステムになっているかは知らないが、理想としては年度始めに、保護者の願いやアンケートを記入し、それを受けて昨年度の指導計画書を下敷きに新たな計画書が担任により作成されるのが良いと思う。具体的には短期目標、長期目標、取り組みなどが保護者に開示され、それをまた学期末ごとに評価し、次学期に修正し、また取り組むといった形が理想ではないか。

 普通校では保護者は小学校でも、なかなかこういう教育参加はできないでしょう? だから、そういう点で養護学校の生徒は幸せだと思う。若草養護学校では、落ちこぼれはいない。全体の中の自分、ではなく、自分個人の目標というものがしっかりしているからである。そのため、自尊感情の育成もしやすい。ここが評価すべき点だと私は思う。

 自尊感情は「生きる力」だ。今年もセミナー等で普通高校をあちこち拝見させて頂く中で、「自分」に自信を持てない生徒がやはり多く、密かに心を痛めている。自分の長所がわからない。自分のことを、他人に語ることができない。相手に届く声で話ができない生徒も非常に多い。

 養護学校では障害のため、否応なく自分自身と向き合うことが必要だ。だが、普通校ではずっと「自分は何者なのか?」という問いかけをしたことがないのではないか。
  まず、自分自身と向き合うこと。自己分析し、自分を大切にし、そして前向きに歩いていく力を少しでも付けさせてやりたいと思う。この「生きる力」を伸ばすことこそが教育ではないかと思うが…、教育現場にいない者の空論だろうか。

 

 
 
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